【4月8日 AFP】地球から2000光年離れたぎょしゃ座(Auriga)イプシロン(Epsilon)は約2世紀にわたり、星空を見上げる人々を悩ませてきた。

 1820年代に初めて18か月間にわたって減光したことが観測され、その後この現象は27.1年の周期で繰り返されることが分かった。その理由を説明しようとさまざまな仮説が提示されてきたが、英科学誌ネイチャー(Nature)に、この問題に決着をつける可能性がある画像が掲載される。天文学者らが7日明らかにした。

 最初は地球とイプシロンの間を通過する暗い天体による「食」が原因ではないかとみられていたが、イプシロンは連星であることが分かったため、状況は複雑になった。連星とは2つの恒星が相互に引力を及ぼしあい、共通重心の周りを公転しあっている天体のことだが、イプシロンと伴星が同時に視認されることはなかった。

 この正体不明の天体について、20世紀をほぼ通じて支持を集めていた理論は、非常に温度が低く平らな円盤で、これが主星イプシロンの光を拡散させているのではないかという説だった。また光を吸い込むブラックホールがではないかという仮説もあった。
 
■最新技術がとらえた「ちりの円盤」

 ネイチャーに発表される高解像度画像には、暗色で高密度のちりの円盤がイプシロンの真正面を通過するさまが写っており、そのため光の一部が遮られて地球に届かなくなることが示唆されている。

 この画像は米ジョージア州立大学(Georgia State University)にある口径1メートルの望遠鏡4基を使って前年11月に撮影した写真を、干渉処理という方法で赤外線を増幅して得られた。

 干渉処理を行うための装置を製作した米ミシガン大学(University of Michigan)のJohn Monnier教授は、遠くの天体をどれだけ鮮明にとらえられるかという技術的な成果を示せたと語る。「この画像をとらえられて本当に驚いている。既知の天体にこのような天体はない。その上、星の一生の中でも珍しい段階だ。たまたま地球からかなり近い位置でもあった。本当に思いがけない成果だ」(Monnier教授)

 2009年から始まったぎょしゃ座イプシロンの食は、同年にあたった世界天文年(International Year of Astronomy)の一大イベントの1つだった。イプシロンの食は2011年まで続く。(c)AFP

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