【1月30日 AFP】マグニチュード(M)7.0の地震に見舞われたハイチの被災者が新たな脅威にさらされている。国連(UN)の29日の報告によると、被災者が暮らす荒れ果てた避難キャンプで下痢、はしか、破傷風などの病気が流行っているという。

 地震発生から17日が経ち、死者の数は約17万人に達し、約100万人が家を失った。海外からの大規模な支援が続いているものの、医薬品、食料、飲料水は依然として不足している。

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)のポール・ガーウッド(Paul Garwood)報道官は「多数の人が避難するキャンプなどでは、ここ2~3日で下痢、はしか、破傷風の発症件数が増えているとの報告を受けている」と述べた。

 国連機関やハイチ政府は来週からはしか、破傷風、下痢に対するワクチン接種の開始を予定している。同報道官によると、ハイチで地震前に予防接種を済ませていた子どもは58%に過ぎない。

 腕や脚を切断する手術が毎日30~100件行われており、外科医のほか、麻酔薬と抗生剤が不足しているという。

 もともとぜい弱だったハイチの医療システムは地震で壊滅的な影響を受け、すし詰めの避難キャンプは病気の温床となっている。

 治安の悪化も懸念されている。主要な刑務所の建物が地震で倒壊し、受刑者数千人が野放しとなった。性的暴行や弱者を狙った暴力の被害が報告されている。

 国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)のエドモンド・ミュレット(Edmond Mulet)代表代行は英国放送協会(BBC)に対し、「ハイチの復興には数十年が必要だろう。(地震は)ハイチの発展にとって大きな後退となった。ゼロからではなくマイナスからスタートしなければならない」と語った。(c)AFP/Virginie Montet