【1月6日 AFP】(一部更新、写真追加)南極海で日本の調査捕鯨船に対する妨害活動を展開している米環境保護団体「シー・シェパード(Sea Shepherd Conservation SocietySS)」がこのほど新たに導入した未来型の超高速抗議船「アディ・ギル(Ady Gil)」号が6日、捕鯨船団の1隻と衝突し、真っ二つになって沈没した。シー・シェパードが同日、声明で発表した。

 シー・シェパードは声明で、「(日本の)第2昭南丸が突然エンジンを起動させ、故意にアディ・ギル号に激突してきた。船首の8フィート(約2.4メートル)が完全にちぎれた」と主張。「いわれのない」攻撃の一部始終は、ビデオ録画してあるとしている。

 乗り組んでいた活動家6人は救助され無事だが、船の回収は難しい状況だという。

 一方、日本の調査捕鯨団側は、アディ・ギル号のニュージーランド人船員5人とオランダ人船員1人が、調査母船「日新丸(Nisshin Maru)」の舵(かじ)やプロペラをロープで縛り付けようとしたり、日本の船員に「緑色のレーザー機器」を向け、調査船に「悪臭弾」を発射するなど、妨害活動を行っていたとして非難している。

 日本鯨類研究所(Institute of Cetacean Research)は抗議書で、シー・シェパードの妨害活動が「年々その行為は激しさを増して」おり、「断じて許すことの出来ない、時に人命を脅かす危険なテロ行為」と非難した。

 シー・シェパードの「スティーブ・アーウィン(Steve Irwin)」号のポール・ワトソン(Paul Watson)船長は、「過激な対応でわれわれの残る2隻の船が撤退すると考えているのなら、それは間違いだ。われわれは今や真実の捕鯨戦争に突入した。撤退する気はない」と話した。

 アディ・ギル号は炭素繊維とケブラー繊維製の三胴式で、わずか61日間で世界一周を達成した超高速船。以前は「アースレース(Earthrace)」号といったが、反捕鯨活動に100万ドルを支援した米ハリウッド(Hollywood)のビジネスマンの氏名にちなみ、アディ・ギル号と名を変えた。(c)AFP

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