【11月30日 AFP】ヒツジの「げっぷ」を減らして地球温暖化対策に貢献を――。オーストラリアに、こんな研究に取り組む12人の研究者たちがいる。ヒツジのげっぷには、温室効果ガスの1つであるメタンガスが大量に含まれているため、メタンガスの排出量とヒツジの遺伝子との因果関係を特定し、排出量の少ないヒツジの繁殖を目指しているのだ。

 研究を主導するニューサウスウェールズ(New South Wales)州政府・産業投資省のジョン・グーピー(John Goopy)氏によると、オーストラリアの温室効果ガス排出量のうち、農業関連で排出される12%。そのうちの7割を、ウシやヒツジなどのいわゆる「反すう動物」が放出するメタンガスが占めるという。

 ヒツジの場合、メタンガスのほとんどは、げっぷとして排出される。そこで研究チームは、エサを与えた直後のヒツジの群れを特殊な囲いに追い込んで、それぞれのヒツジが吐き出すげっぷの量を計測した。これまで測定したヒツジ200匹のうち、約半数は平均値を超えるメタンガスを放出したが、残りの半数が吐き出したガスは平均以下だった。

 グーピー氏によると、メタンガスの排出量を決定づける最大要因は食べるエサの量だが、この要因を考慮したうえで個々のヒツジを調べた場合にも、メタンガス排出量には著しい差異がみられたという。

 地球温暖化問題でメタンガスが環境に与える影響は、二酸化炭素の17倍と言われる。もし、オーストラリアで飼育されているヒツジ8000万匹から排出されるメタンガスを、今後の10年間で10~15%減らすことができれば、長期的な温室効果ガス削減に貢献できると、グーピー氏は期待を示している。(c)AFP