【9月27日 AFP】(一部更新)スイス司法警察省の報道官は27日、米国で指名手配されているロマン・ポランスキー(Roman Polanski)監督(76)の身柄を拘束したと発表した。現在、米国からの身柄引き渡し要求を待っている状態だという。

 ポランスキー氏は26日、チューリヒ(Zurich)の映画祭で功労賞を受賞するため同市を訪れた。スイスの通信社ATSはポランスキー氏は空港内で拘束されていると報じたが、当局からの正式な発表はない。

 ポランスキー氏は、当時13歳の少女にみだらな行為をした容疑で、1978年に米当局から逮捕状が出されていた。容疑を認めたが同年、米国を出国し、その後一度も米国に入っていない。

 スイス司法警察省の報道官は、少女淫行事件での逮捕状に関連して2005年に米当局から出されていた同監督に対する国際的な捜査要請に基づく拘束だと話した。

 エベリン・ビドマーシュルンプフ(Eveline Wildmer-Schlumpf)司法警察相は、米国からの要請に基づき拘束しなければならず、政治的な「圧力」はないと語った。拘束する以外に解決法はなかったとしている。

 ロサンゼルス郡検察局の広報官は、ポランスキー氏がスイスを訪れるという情報を事前に入手し拘束に向けた準備を行っていたことを認めた。同局は、ポランスキー氏が米国と犯罪容疑者の身柄引き渡し協定を結んでいる国に渡航するという情報をこれまで2度つかんだが、2度ともポランスキー氏が同局の動きを察知し渡航しなかったという。

■拘束を非難する声も

 ポーランド通信(PAP)によれば、ポーランドとフランスの外務省は、米当局に対しバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領からの恩赦を求めるなど、ポランスキー監督の釈放に向け協力することを確認したという。

 さらに、フレデリック・ミッテラン(Frederic Mitterrand)仏文化・通信相は、パリ(Paris)在住のポランスキー監督の拘束を非難し、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領と協議したと語った。

 ポランスキー氏の弁護士は、「ポランスキー氏の夫人と子どもたちは、身柄拘束に非常にショックを受けている」と語り、釈放を求め闘う意志を明らかにしている。

「事件から30年以上が絶ち、現在では明らかに社会に対する危険がなく、その芸術性や人格に対する評価が高い76歳の男性が、1日でも拘束されることは人間的見地から耐えられることではない」
 
 映画祭では、「ポランスキーに自由を」、「身柄引き渡しに反対」と書いたプラカードが掲げられた。(c)AFP/Agnes Pedrero