【8月30日 AFP】23日に行われた2009ミス・ユニバース(Miss Universe)世界大会で、昨年に続いて大会を制覇した国ベネズエラ。ラテン系の美に加えて、ベネズエラの女性たちが熱をあげている美容整形手術にも、世界の注目が集まった。

 顔から体まで、ベネズエラでは美容整形はまったく普通といえるほど盛んで、米国や中南米、カリブ海の国々からは、新たなテクニックやより安い施術を求める外国人も訪れ、「整形ツアー」は一大産業ともなっている。

■美容整形は社会のどの層でも一般的

 今年のミス・ユニバースは、2008年のダイアナ・メンドーサ(Dayana Mendoza)さんからステファニア・フェルナンデス(Stefania Fernandez)さんが女王の座を引き継ぎ、2年連続ベネズエラ代表の優勝となった。ミス・ユニバースの59年の歴史でベネズエラが優勝したのは、米国の7回に次ぐ6回目、同じ国の代表による二連覇は初めて。この輝かしい記録によって、好況の整形業界がさらに潤うのではないかと、関係者は期待する。

 ミス・コンテストの美しさが、「自然の美」ではないという声が無視されることは、コンテスト業界ではよくあるが、フェルナンデスさんの優勝に美容整形が貢献したのは確実だろう。セレブの豊胸手術などを多数手がけているベネズエラの整形外科医、ダニエル・スロボディアニクさんは「わたしがやったわけではないが、彼女が整形してるのは一目瞭然。出場者はみんなしている」と断言する。

 首都カラカス(Caracas)に住む27歳のバネッサ・ブリトー(Vanessa Brito)さんは、5年前に豊胸手術を行ったが、整形は社会のあらゆる階層の女性たちの間で一般的だという。「ベネズエラには、ミス・ユニバースのようなコンテストでみられるのが理想の美だっていう、社会的なプレッシャーがあると思う。それでコンテストを見て、みんな同じような外見になりたがる」

 19歳の学生、ラウラ・ゴンザレス(Laura Gonzalez)さんも同じことを言う。ゴンザレスさんは過去4年で、鼻の整形手術と豊胸手術を受けた。「ミス・ユニバースだけの話ではないわね。ベネズエラの女性は、自分をきれいに見せたいのよ。ヘアスタイルやファッションと同じで、自分自身をいいと感じられることが女性には必要でしょう」

■10代には親がプレゼントも

 しかし、豊胸手術用インプラント卸会社で代表を務めるアルツロ・ロハス(Arturo Rojas)さんは、美は「必需品」と考えるベネズエラ女性は、整形業界にとって世界一の「金脈」だという。

 10代初めのうちに親たちからのプレゼントとして、整形手術を受ける少女たちも少なくない。例えば、13歳のユドラナさんは手術前の相談のために、母親と一緒に美容整形クリニック訪れていた。「こういう手術を受ける権利は、女の人には誰にでもあると思う。わたしたちはみんなきれいだけど、時々もっときれいになりたいとも思うのよ。中身だけでなくて外見もね」

 施術の結果、感染症から乳房切除に至る危険性もあるが、十代の整形希望者たちがそれで気持ちを変えることはほとんどない。

 しかし、実際にはそうした事例が増え、医療事故専門の弁護士業というさらなる副産業も生んでいる。十代の少女たちの体は美容整形に耐えるほど成熟しておらず、術後の傷から回復しにくいのだと、そうした弁護士の1人、エミリア・デ・レオン(Emilia de Leon)さんはいう。

 専門家によると、ベネズエラで最も人気のある整形は豊胸手術で、年間3万件が施術されており、美容市場の基幹となっている。豊胸で使われるシリコンには米国や中国、ブラジル製もあるが、フランス製が最も質が良いと信頼されており、豊胸術全体の80%を占める。

 また、海外からの施術希望者が多いのは、ベネズエラの美容整形が格安だからだ。例えば、カラカスでは豊胸手術は2500ドル(約23万円)程度で、ほかの国よりも数千ドルも安くできる。(c)AFP/Beatriz Lecumberri