【6月25日 AFP】米映画芸術科学アカデミー協会(Academy of Motion Picture Arts and SciencesAMPAS)のシド・ギャニス(Sid Ganis)会長は24日、カリフォルニア(California)州ロサンゼルス(Los Angeles)で会見を行い、来年度のアカデミー賞作品賞部門のノミネート数を現行の5作品から10作品に拡大すると発表した。

 約80年の歴史を誇るアカデミー賞には、1930年代から40年代にかけて10回以上、作品賞ノミネートが6本以上あった時代があり、そのうち9回は10本だった。ノミネート作品が10本選ばれた最後の年となったのは1943年の第16回。このときは、『カサブランカ(Casablanca)』が栄冠を獲得した。

 アカデミー賞の評論家らは、ノミネート数の倍増は視聴率の増加が狙いだと分析している。視聴率は、2008年に過去最高を記録し、今年は13%上昇した。ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)紙のトム・オニール(Tom O'Neil)氏は、「自分のお気に入りの作品がノミネートされれば、授賞式に興味がわく。ノミネート数が5本から10本になれば、興味を持つ人も多くなるだろう」と語った。

 一方、ギャニス会長は、これまで作品賞ではなく、各部門にノミネートされていたドキュメンタリーや外国語映画、アニメなどが最高賞の作品賞にノミネートされるチャンスが出ると語った。

 今年のアカデミー賞では、バットマン(Batman)シリーズ『ダークナイト(The Dark Knight)』が前評判が高かったにもかかわらず、作品賞へのノミネートを逃している。2008年最高の興行収入を記録し、故ヒース・レジャー(Heath Ledger)の熱演も光ったが、ノミネートされずに「アンラッキー」だったと考えられている。

 ギャニス会長は、ノミネート数が増えていれば、『ダークナイト』もノミネートされただろうと認めた。「話し合いの中で、『ダークナイト』という言葉が出なかったと言えばうそになるだろう」

 オニール氏は、『ダークナイト』のノミネート漏れはアカデミー賞主催者らを「当惑させた」と語る。「今回の決定に『ダークナイト』が絡んでいるのは間違いない。2008年のもっとも重要な映画が作品賞にノミネートされず、きまりが悪かった」

 今年は『ダークナイト』同様に、アニメ『ウォーリー(Wall-E)』も、その芸術性に評価が高まり作品賞へのノミネートを果たすのではないかといわれていたが、逃している。(c)AFP/Rob Woollard