【6月7日 AFP】(写真追加)1日にリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)からパリ(Paris)に向かう途中、大西洋で消息を絶ったエールフランス(Air France)航空AF447便を捜索していたブラジルの捜索チームは6日、乗客2人の遺体などを発見し、収容したと発表した。

 ブラジル軍の発表によると収容した遺体はいずれも男性だった。このほか航空機の青色の座席1つ、コンピュータと予防接種記録カードが入ったナイロン製のバックパック、エールフランスの航空券が入った革製のブリーフケースを回収した。発見場所は事故機からの最後の通信となった、複数の機器の不具合を示す一連の自動メッセージが送信された場所から70キロ北東で、人が住んでいる場所として事故現場に最も近いフェルナンド・デ・ノローニャ(Fernando do Noronha)諸島の450キロ北東だった。

 エールフランスは「23701103B331-0」という座席のシリアル番号から、これが事故機のものか確認を進めている。

 事故機から遺体や物品が発見・回収されたのは初めて。回収物はフェルナンド・デ・ノローニャ諸島に運び、まずブラジルの科学捜査専門家5人が調査する。その後、同諸島から370キロ離れたブラジル本土のレシフェ(Recife)に空輸してフランスの事故調査チームが詳しい分析を行う。

 乗客の家族らは遺体の身元確認に使うDNAサンプルをすでに提供している。

■ブラックボックスは未回収

 消息を絶ったエアバス(AirbusA330型機は嵐に突入した際に速度センサーに不具合が発生した可能性が指摘されているが、事故直前の状況を解明する上で重要なデータを格納したブラックボックスはまだ見つかっていない。フランスはブラックボックス回収のため原子力潜水艦を現場に向かわせている。

 フランスの事故調査当局者らは6日、墜落の直前に複数の機器の不具合が重なっていたと述べた。また事故機とは別の複数のエアバス機に速度計の故障があったことも明らかにした。

 エアバスは5日、複数の速度計が互いに異なる速度を表示した場合にパイロットが従うべき手順について2001年に出された警告を再度確認するよう、同社の機体を操縦する全てのパイロットに呼び掛けた。

 フランスの事故調査当局者らは、エールフランス機が事故直前に24のエラーメッセージを送信し、その直後に自動操縦装置が解除されたことを明らかにした。

 フランス航空事故調査局(Office of Inquiries and AnalysisBEA)のPaul-Louis Arslanian局長は、事故機は速度の計算に問題があり、同様の問題は他のエアバス機でも報告されているが、速度計を取り替えなければ危険とは必ずしも言えず、事故機以外の例ではパイロットが機体のコントロールを取り戻すことができたと語っている。

 同氏は自動送信されたエラーメッセージから、自動操縦がパイロットによって解除されたのか、それとも自動的に解除されたのか判断することは不可能だと述べた。(c)AFP/Marcelo Lluberas