【10月21日 AFP】密輸業者にヘロイン入りのバナナを与えられ麻薬中毒となっていた4歳のアジアゾウが、3年間のリハビリを終了し、前月ふるさとの雲南(Yunnan)省の野生動物公園に戻された。だが、公園関係者によると、再び野生の生活に戻ることは、もはや不可能だという。国営新華社通信(Xinhua News Agency)が20日報じた。

 このゾウ「シークワン(西光、Xiguang)」は、同様に密輸業者に捕獲された3頭とともに中国南部の海南(Hainan)島の野生動物保護センターに送られ、3年間の麻薬中毒治療を経て同公園に戻された。だが、公園の幹部によると、3年の飼育生活と大量の治療薬は、ゾウたちの体質、体臭、習性などを変えてしまった。野生に戻れば、肉食動物の標的となる可能性があるうえ、興奮しやすくなっており、人間を傷つけることもあり得るという。「彼らを野生環境に戻すことはもはや不可能だ」と、この幹部は語っている。

 新華社によると、シークワンは2005年、ほかのゾウたちと共に密輸業者に捕獲され、手なずけるために麻薬入りのバナナを与えられた。ミャンマーとの国境で同年5月、警察当局が密輸業者を逮捕。ゾウたちを保護した際、シークワンは涙を流したり吠え続けたりするなど、様子がおかしかったため、診断した結果、薬物症状であることが判明した。(c)AFP