【6月30日 AFP】サッカー欧州選手権2008(Euro 2008)で優勝を果たしたスペイン代表のルイス・アラゴネス(Luis Aragones)監督は、代表監督として輝かしくふさわしい結末を迎えた。

 7月に70歳を迎えるアラゴネス監督は、欧州選手権を制した最年長の監督となった。

 決勝前夜の28日に「2位のことは誰も覚えない」と暗い様子で語っていたアラゴネス監督だったが、フェルナンド・トーレス(Fernando Torres)の前半33分の得点により今後数年にわたってアラゴネス監督のチームが記憶されることが保証され、アラゴネス監督の心配は杞憂(きゆう)に終わった。

 また、ディフェンダーのカルレス・プジョル(Carles Puyol)は28日に「我々は監督に従い、チームや監督が批判された苦しい時期を乗り越えてきた。このことで我々の精神力は強くなった。監督は成功に値する」と語っていた。

 決勝でドイツを1-0で下して44年ぶり2度目の優勝を果たし、スペイン国王フアン・カルロス1世(Juan Carlos I)を友人の1人に持つアラゴネス監督は最高の瞬間を迎え、強固なディフェンスに支えられたフリア・ロハ(La Furia Roja、スペイン代表の愛称)の高速で流れるような攻撃サッカーはふさわしい結果を手にした。

 70歳を間近に迎えるほとんどの男性と同様にアラゴネス監督は短気で怒りっぽいが、今大会での功績によりスペイン国民の心をつかんでいる。

 アラゴネス監督の在任期間は論争や批判が絶えることはなかった。

 アラゴネス監督は、2004年に代表入りしていたホセ・アントニオ・レイェス(Jose Antonio Reyes)に対する指導の中で当時アーセナル(Arsenal)でレイェスのチームメイトであったティエリ・アンリ(Thierry Henry)に対する人種差別的な発言があったとして非難され、これによりスペインサッカー連盟(Real Federacion Espanola de FutbolRFEF)は欧州サッカー連盟(UEFA)から罰金9万ドルを科されている。

 その後アラゴネス監督は自身が人種差別主義者であることを否定しており、この意見はかつて指導したカメルーン代表のサミュエル・エトー(Samuel Eto’o)からの支持を得ている。

 また、今大会でレアル・マドリード(Real Madrid)に所属するラウル・ゴンザレス(Raul Gonzalez)を招集しなかったことでファンの間で大きな論議を巻き起こしたが、大会ではダビド・ビジャ(David Villa)とフェルナンド・トーレスのコンビが効果的に機能することを証明し、アラゴネス監督は自身の正当性が実証されたと感じているだろう。

 アラゴネス監督は現役時代に大きなブーツを意味する「サパトーネス(Zapatones)」の愛称で知られており、スペインが今大会でこれまでの多くの亡霊を追い払って優勝を飾り身を引くことになっても、その意欲を満たすのは難しいだろう。(c)AFP/Nick Reeves