【6月4日 AFP】1日に開幕した第18回プラハ(Prague)ライターズ・フェスティバルでは、米国のポール・オースター(Paul Auster、61)、パキスタンのタリク・アリ(Tariq Ali)、カナダのマーガレット・アトウッド(Margaret Atwood)、地元チェコのイヴァン・クリーマ(Ivan Klima)ら多数の著名作家が、さまざまなイベントを通じ、激動の1968年を振り返る。

 オースターはAFPとのインタビューで、「当時起こったことと今日起こっていることの間にはとても多くの類似点がある」と強い調子で語った。「僕はあの頃と全く同じだ。少なくともそう思う。公正と公平を心から望むよ。みんなが独りで生きているのではなく、一緒に生きているという意味でね」

 今秋、新作『Man in the Dark』を発売する彼は、イラク戦争とベトナム戦争を関連づける。「イラクについては、1968年のベトナム戦争当時と全く同じ感情を抱いているよ。米国政府の政策の愚かさについちゃあ、いまだにムカつくし、卑怯だと思うし、心の底から腹立たしいし、イライラするんだ」

 1968年、コロンビア大学(Columbia University)の学生だったオースターは、大規模なベトナム反戦デモに参加した。民主化運動「プラハの春(Prague Spring)」が起きたチェコスロバキアでは、クリーマが反体制文学の旗手となった。そして、ソ連軍による「プラハの春」鎮圧にモスクワの赤の広場で抗議したのは、ロシアの詩人で政治活動家のNatalia Gorbanevskayaだった。

 作家たちのこうした経験は、フェスティバル中に開催される会議やレクチャー、討論会で語られる予定だ。「1968年は表現の自由、官僚組織への反抗の年だった。敗北の年だったなどと言う輩は何も知らない連中だ。なぜなら思想というものを打ち破ることは不可能だからだ」と、フェスティバルのディレクター、マイケル・マーシュ(Michael Marsh)氏は語った。

 ライターズ・フェスティバルは、もともとロンドン(London)で開催されていたが、1991年に会場がプラハに移された。毎年、世界中から有名無名の作家が集う。2001年にはサルマン・ラシュディ(Salman Rushdie)、2004年にはナディン・ゴーディマ(Nadine Gordimer)、2005年にはミシェル・ウエルベック(Michel Houellebecq)が招かれた。

 今年のフェスティバルのテーマは、「笑いと忘却」。チェコの作家ミラン・クンデラ(Milan Kundera)の『笑いと忘却の書(Laughter and Forgetting)』 からとられたものだ。フランス在住でここ何年も公の場に姿を見せていないクンデラにとっても、1968年という年は重要な意味を持つ。

同フェスティバルは、5日まで開催される。(c)AFP