【5月16日 AFP】神への信仰は「子どもじみた迷信」、ユダヤ人は「選ばれし民」ではない――ドイツ生まれのユダヤ人理論物理学者アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)が宗教観をこのように表現した手紙が15日、ロンドン(London)で競売にかけられた。

 古書類競売業者ブルームズベリー(Bloomsbury)が13日明らかにしたところによると、アインシュタインの手紙は1954年のもの。「神という言葉はわたしにとって言葉以上のものでなく、人間の弱さが作り出したものにすぎない。聖書は、高潔だが原始的な言い伝えをまとめたもので、やはり子どもじみている」「どんなに素晴らしい解釈が登場しようと、この考えは変わらない」などと述べている。

 また、ユダヤ人が神に選ばれた民だという思想についても、「わたしにとってユダヤ教は、ほかの宗教と同じく子供じみた迷信の権化だ」「ユダヤ人であることを光栄に思っているし、強い親近感を抱いていているが、わたしにとってはほかの民族と変わらない」と述べ、否定している。

 ブルームズベリー関係者は、アインシュタインは手紙の中で自らの宗教観を「遠回しに言うことなく明確に語っている」と評価する。

 英ガーディアン(Guardian)紙によると、この手紙は1954年1月3日に哲学者のエリック・グートキンド(Eric Gutkind)あてにドイツ語で書かれたもので、50年以上も個人コレクションとして所有されていたという。(c)AFP