【3月25日 AFP】アフリカ東岸沖のインド洋に浮かぶコモロ連合のアンジュアン(Anjouan)島で25日未明から、同島大統領の警備隊と、連合政府軍とアフリカ連合(African UnionAU)の合同部隊の間で戦闘が行われている。

 合同部隊を乗せた輸送船2隻が25日未明、無灯火でムツァムドゥに到着した。アンジュアン島の中心都市ムツァムドゥ(Mutsamadu)では、断続的に激しい爆発音やライフル銃の発砲音が響いた。同島の大統領宮まではわずか数キロの距離となっている。

 ムツァムドゥの北では政府軍とバカル大統領派との間で激しい戦闘になった。一方、合同作戦に参加したタンザニアの部隊は抵抗を受けずムツァムドゥに入り、住民の歓迎を受けた。

 同国のアフメド・アブダラ・モハメド・サンビ(Ahmed Abdallah Mohamed Sambi)大統領は24日、全国で放送されたテレビ演説で、アンジュアン島奪還に向けた合同作戦を承認したと発表。同島の法治回復のために行うもので、苦渋の選択だったことを強調した。

 24日には、アンジュアン島の島民に対し、バカル大統領の失脚に向けた合同部隊の到着を予告するビラがヘリコプターから撒かれた。

■相次ぐクーデター、独立以来続く政情不安

 コモロ連合はフランスから独立した1975年以来政情不安が続き、これまでに19回のクーデターまたはクーデター未遂が起きている。

 コモロ連合を構成する、グランドコモロ、アンジュアン、モヘリの3島は、連合大統領の下、各島の大統領をそれぞれ選出する。

 バカル大統領は、2002年にアンジュアン島大統領に選出され、2007年6月の大統領選も再選を目指して出馬したが、サンビ大統領は不正選挙を宣言し、AUもバカル大統領を承認しなかった。以来、バカル大統領は、同島を独自に統治していた。

 今回の合同作戦には、AUのほか、旧宗主国のフランスがAU部隊の航空輸送を行って協力している。(c)AFP/Emmanuel Goujon