【3月12日 AFP】カナダ西部の油田や小麦畑、牧草地に囲まれた都市、バルカン(Vulcan)が、SF大作「スター・トレック(Star Trek)」最新作のワールドプレミア開催候補地に名乗りを上げた。同市の広報担当者が7日明らかにした。

■ミスター・スポック誕生の地

 ジーン・ロッデンベリー(Gene Roddenberry)の原作を下敷きにした映画の11作目となる最新作「スター・トレック・ゼロ(Star Trek Zero)」(仮題)は、1960年代にオリジナルTVシリーズが開始した当時の、若きジェームズ・T・カーク(James T. Kirk)船長を描いた作品。

 バルカン市の広報担当ダイナ・ディケンズ(Dayna Dickens)氏によれば、前年9月にパラマウント(Paramount)のエグゼクティブ・プロデューサー宛てに提案書を送付、前月に入って「検討します」との返事があったという。

「最新作は、スターフリート(Starfleet)でのミスター・スポック(Mr. Spock)とカーク船長の若き日を描いた作品です。ミスター・スポックはバルカン(星)の出身ですから、われわれにとっては同郷の民。ワールド・プレミアの開催場所には最適だと思います」とディケンズ氏は語る。

 バルカン市は毎年、3日間にわたる「スター・トレック大会」を主催しており、TVシリーズはもちろん映画のファンが大勢つめかける。

 大会を訪れる「トレッキー」あるいは「トレッカー」と呼ばれるスター・トレック・マニアを迎えるのは、街の入口に設置された巨大なコンスティテューション級の宇宙船だ。市内のさまざまな店舗には、もじゃもじゃ毛の「トリブル(Tribble)」のぬいぐるみが並び、地元のホテルのロビーには、スター・トレックの出演俳優がこのイベントを訪れた際の記念写真が飾られる。

■「バルカン」の本当の由来

 ファンの間ではバルカン星にちなんでバルカン市と名付けられたと思われているが、実はそうではない。

 古代ローマの火の神ウルカヌス(Vulcan)に並々ならぬ興味を持っていた測量士が1910年、当地の鉄道駅をバルカン(Vulcan)と名付けたのだ。記念すべきオリジナルTVシリーズのスター・トレック第1作が放映されたのは、それから56年後のことである。

 1993年、同市はスター・トレックの人気にあやかって観光業を盛り立てるべく、公務員の制服にスターフリートの制服とよく似たデザインを採用。スター・トレックの舞台に似せたセットで結婚式を挙げるカップルもいる。住んだこともないバルカン市の墓地に、「惑星連邦」の墓碑とともに埋葬されることを望んだ男性もいた。

 ワールド・プレミア開催実現に向け、ディケンズ氏は姉妹都市である米国バーモント州(Vermont)スプリングフィールド(Springfield)に助言を受けているという。スプリングフィールドは昨夏、「ザ・シンプソンズ(The Simpsons)」のワールド・プレミア開催地となった。

■プレミア開催に向け、バルカン市が抱える「ある問題」

 現時点で、カーク船長の故郷アイオワ州(Iowa)リバーサイド(Riverside)、そしてスコット機関主任(Charlie Scott)の故郷スコットランド南東部リンリスゴー(Linlithgow)も、ワールド・プレミア開催候補地となっている。

「実際に開催するにはいろいろ問題があります」とディケンズ氏は明かす。バルカン市には映画館がないのだ。だが日ごろから学校の体育館で隔月ごとに映画鑑賞会を開いているそうで、ディケンズ氏も「だからなんとかなると思います」と楽観的だ。

 2009年5月公開予定の「スター・トレック・ゼロ」は、J・J・エイブラムス(J.J. Abrams)がメガホンをとり、クリス・パイン(Chris Pine)がカーク船長を、ザカリー・クイント(Zachary Quinto)がミスター・スポックを演じるほか、ウィノナ・ライダー(Winona Ryder)や、1966-69年に放映されたTVシリーズの俳優陣も出演する。(c)AFP/Michel Comte