【1月28日 AFP】米政府は27日、2月下旬から3月上旬に動力を失い、軌道を外れて地球に落下する恐れのある米偵察衛星への監視を強めた。一方、米メディアは偵察衛星に積まれている有害物質が落下時に漏出する危険があると報じ、環境問題発生への懸念も広がっている。予想落下地点はいまのところ不明。

 27日会見した米国防総省の報道官は、有害物質の有無や衛星の詳細についてはコメントしていないが、米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙は、2006年に打ち上げられた実験的な衛星の1つと報じている。

 軍事探査を目的とする偵察衛星は通常、地球から近い低軌道に乗せられる。燃料のヒドラジンは強毒性で、ヒトがこれに触れると中枢神経系が損傷して死に至る場合もある。ただし、ニューヨーク・タイムズ紙の報道によれば、ヒドラジンは熱や紫外線に当たると即座に気化する性質を持つため、大気圏再突入時に燃料タンクが破壊されれば燃え尽きるとする科学者の見解もあるという。

 地球から遠い高軌道の衛星には、プルトニウムや濃縮ウランなどの核燃料を動力とするものもある。(c)AFP