【12月14日 AFP】(一部更新)民主主義の歴史上最も重要な法律文書の1つ、マグナカルタ(大憲章、Magna Carta)の4部の公式写本が11日、英オックスフォード(Oxford)大学のボードリアン図書館(Bodleian Library)で800年ぶりに一般公開された。

 公開は1日限り。厳重な警備の下、大勢が13世紀の写本を見に訪れた。同大学所蔵の4部の写本が同時に展示されるのは今回が初めて。現存する残りの13部の写本は、世界各地に分散している。

 公開された4部の写本のうち3部は、1217年に当時10歳だったイングランド王、ヘンリー3世(King Henry III)の名で発行され、摂政のウィリアム・マーシャル(William Marshall)らの認証印が押されている。残る1枚は、ヘンリー3世自身の印が押された1225年発行のもの。

 マグナカルタは1215年6月15日、ジョン王(King John)の承認により制定され、13世紀にイングランドを統治する王によって繰り返し発行された。事実上、悪政を行っていたジョン王と対抗勢力との間の平和協定のようなもので、何人も法を越えることはできない、とする原則が正式に記されている。

 イースト・アングリア大学(University of East Anglia)のニコラス・ビンセント(Nicholas Vincent)教授(中世史)はマグナカルタについて、「1枚の紙に凝縮された歴史そのものだ。独立宣言とともに、英語圏の人たちが読んだことはなくても聞いたことはある数少ない文書の1つだろう」と指摘している。

 今回の公開は、現在は米国の大富豪で元大統領候補のロス・ペロー(Ross Perot)氏の所有しているマグナカルタ写本が次週、ニューヨークの競売会社サザビーズ(Sotheby's)でオークションに掛けられるのに先立ち行われた。ペロー氏の写本は、マグナカルタがイングランドの憲章として認められた1297年にイングランド王、エドワード1世(King Edward I)により発行されたもので、以前は米国の独立宣言の原本とともに展示されていた。(c)AFP