【11月22日 AFP】スーダン西部ダルフール(Darfur)地方の紛争地域へ国連(UN)とアフリカ連合(African UnionAU)の合同平和維持部隊(UNAMID)を派遣する計画について、インドがラクダ部隊を提供し同部隊の輸送面を支援することが分かった。インド国境警備隊(Border Security ForceBSF)によると、前週、国連から派遣要請があったという。

 国連の平和維持活動局(Department of Peacekeeping Operations)は前週、十分な空輸機動力と火器が早急に供給されなければダルフールで一般市民を保護するPKO任務は失敗しかねないとの懸念を表明していた。

 これをうけ、BSFは、ダルフールで輸送業務を行う歩兵部隊に、戦地向け訓練を受けたラクダ部隊の派遣を表明した。

 BSFのラクダ部隊は、インド西部ラジャスタン(Rajasthan)州およびグジャラート(Gujarat)州での偵察任務に就いている。その任務はパキスタンからの武器・麻薬密輸追跡や夜間巡回など広範囲にわたる。

 BSFのKamal Kumar Rathore副司令官によると、BSFが徴用するラクダは、銃声に反応しないよう訓練されているほか、「ほふく前進」など軍隊特有の動作にも従えるよう調教されているという。

 また、「ラクダは武器を背負ったまま、1日で最長80キロの距離を移動できる完ぺきな輸送手段。休憩時間も短くてすむ」と誇らしげに述べ、「スーダンまで私がラクダ部隊を率いて行っても構わない」と、派遣への意気込みを示した。

 現在、軍事目的でラクダを利用する国は、インドと南アフリカの2か国だけだ。

 一方、実際にラクダ部隊がダルフールに派遣されるまでには、まだ時間が必要なようだ。

 BSFのビジャイ・シン(Vijay Singh)報道官は「BSFの管轄下にあるラクダは、現在、全頭が国境警備任務に就いており、ダルフールへの派遣手続きが完了するには時間を要する」と説明。全700頭あまりのうち、直ちにダルフールに派遣できるのは最大で60頭とみている。(c)AFP/Pratap Chakravarty