【9月29日 AFP】(一部更新)反政府運動に対する武力鎮圧が続くミャンマー最大の都市ヤンゴン(Yangon)の中心部で29日、治安部隊が約100人のデモ参加者に対し殴るなどの暴行を加え、5人を拘束したほか、別の場所でもデモ隊に対する武力行使が報告されている。

 目撃情報によるとヤンゴン中心部の橋に集まったデモ参加者の一団が手拍子を打ち始めたところ、直ちに治安部隊約50人が到着して殴打を始めたという。

 目撃者は「治安部隊の暴力はひどかった。どうして耐えられるのか分からない。5人が拘束されるところも見た」と語った。

 この一団はこの日ヤンゴンで行われる最初のデモ隊だった。28日には1万人、今週の初めには10万人規模のデモが行われたが、治安部隊の作戦でこの日のデモ活動は散開されたとみられる。

 別の目撃者は「街中にはデモ隊を上回る数の治安部隊が出動している。殴られたり拘束されたりするのが分かっているのにデモ参加者は街中に来ないだろう」と話した。

■各地で厳戒態勢

 また、橋の近くの市場では、約500人の反政府デモ参加者に対して威嚇射撃が行われ、多数が拘束されたという。

 同日、スーレ・パゴダ(仏塔、Sule Pagoda)付近には大勢の兵士が配備された。

 ヤンゴンに駐留する部隊に加え、北東にあるバゴ(Pago)からも援軍が到着したという。

 厳重な警戒とデモ隊への武力行使に加え、バスやタクシーも運行を取りやめており、市内の移動も難しくなっている。

 一般市民が武力制圧に巻き込まれ、暴行やゴム弾での銃撃を受けているとの目撃情報もある。

■シンガポール人も負傷

 一方、シンガポール政府は、ミャンマーでシンガポール人の男性がゴム弾で負傷したとの情報を受けたとして28日午後、遺憾の意を示す声明を発表した。

 ミャンマーのシンガポール大使館に男性本人から軍隊によって負傷したと連絡があったという。シンガポール外務省が明らかにした。

 声明では「男性は『ゴム弾』と呼ばれる暴動鎮圧用の弾丸で負傷したとみられる」としたうえで、「シンガポール政府はこの不条理な暴力行為を遺憾に思う。ミャンマー当局には最大限の自制と武力行使の停止を求める」と述べた。(c)AFP