【9月10日 AFP】F1、フェラーリ(Ferrari)のチームディレクターを務めるジャン・トッド(Jean Todt)氏は10日、マクラーレン・メルセデス(McLaren-Mercedes)の関係者がライバルチームであるフェラーリの機密情報を保持していたことで発覚した一連のスパイ疑惑について言及し、この問題が「スポーツ界の汚点」であると自身の見解を示した。

 国際自動車連盟(Federation Internationale de l’Automobile:FIA)は、マクラーレンに対する調査でフェラーリのタイヤやマシンのセットアップに関する極秘文書が発見されたことで独自に調査を進めていることを発表しており、13日にパリで開催される世界モータースポーツ評議会(World Motor Sport Council)でこの件について公聴会を開く予定となっている。

 インタビューに応じたトッド氏は、今後のフェラーリの動向について「我々はイタリアで民事訴訟の手続きを行う。また、同様に英国でも訴訟を行うつもりだ」と語り、フェラーリが13日に予定されている公聴会の結果に関わらずスパイ疑惑に対してイタリアと英国で訴訟手続きの継続を行うことを明かした。

 さらに公聴会については、「FIA及び世界モータースポーツ評議会は、手に持っている証拠で処分を決定しなければならない。私たちの義務は、その公聴会で何が起こったか正確に理解する為にできるだけ多くの証拠を提出するだけだ。私たちは新証拠を見つけたので7月の決定を受理しなかった。今回は新証拠もあるので前回とは違った決定が下るだろう。このスパイ疑惑はF1だけに限らずスポーツ界における汚点だと私は考えている。それがF1の中で起こっていることが非常に残念だが、我々は真実を見つけ出す立場にいる。公聴会後には、この問題の真実が我々の元に届くと確信している」と語り、スポーツ界を賑わしているスパイ容疑の進展に自信を覗かせた。

 現地時間9日に行われたF1第13戦・イタリアGP(Italian Grand Prix 2007)の決勝は、マクラーレンのフェルナンド・アロンソ(Fernando Alonso)がシーズン4勝目を飾ると、チームメイトのルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)も2位に入りマクラーレン勢が1・2フィニッシュを飾った。一方、フェラーリはキミ・ライコネン(Kimi Raikkonen)が3位に入りドライバーズポイントで6ポイントを加算するも、チームメイトのフェリペ・マッサ(Felipe Massa)が途中リタイヤでノーポイントに終わった。また、コンストラクターズポイントでは、フェラーリが首位のマクラーレンに23ポイントの差をつけられている。

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