【9月5日 AFP】ロックスターを目指す場合、死に至るほどの薬物過剰摂取、大量の飲酒、自動車事故、自殺といった「代償」はつきもの。だが、これらをうまく逃れる秘訣がある。歌手として売れてから最初の5年を何とか生き延びること、そして英国人になることだ。

■ロック・ミュージシャンはやはり短命だった

 このほど、北米および欧州におけるミュージシャンの生存率の調査結果をまとめた研究報告が英国誌「Journal of Epidemiology and Community HealthJECH)」に掲載された。

 この調査は、リヴァプール・ジョン・ムーアズ大学(Liverpool John Moores University)の研究チームによるもの。対象は2000年の「All Time Top 1000 Albums」のアルバムを制作した、ロック、ポップス、ニューエイジ、ラップ、R&Bといったジャンルのミュージシャン1064人。

 対象者のうち、1956年から2005年の間に亡くなったのはちょうど100人。この中にはジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)、ジム・モリソン(Jim Morrison)、キース・ムーン(Keith Moon)、ブライアン・ジョーンズ(Brian Jones)、ジャニス・ジョプリン(Janis Joplin)、カート・コバーン(Kurt Cobain)など有名歌手らが含まれる。調査対象者の死亡率を性別で見ると、女性が全体の7.3%、男性が9.6%となっている。

 有名スターになった時を基点に見ると、その後25年以内の死亡率は一般人の1.7倍、5年以内では3.4倍に上ることが分かった。また、60年代から70年代に名声を博したミュージシャンについては、その後5年以内の死亡率はなんと一般人の4.5倍にも達するという。

■欧州のロック・ミュージシャンのほうが長生き?

 欧州と北米のミュージシャンを比較すると、前者の方が生存率が高いことも分かった。一方、人気の最中にあって悲惨な最後を迎えたミュージシャンの死亡時の平均年齢は、欧州が35歳だったのに対し、北米は42歳だった。

 寿命を全うせずに亡くなるミュージシャンは、北米の場合、欧州の2倍にも上る。米国のロックミュージシャンの生活様式は慢性心疾患を患う確率が高いことが原因とみられる。

 研究チームは「今回の調査研究により、これまで一般的な逸話として知られていた現象に有益な統計的裏付けを与えた」との自負を語った。(c)AFP