【6月23日 AFP】「アカザエビと仔牛のデージー・グレービー・ソース」「カーネーションとハーブのサラダ、キンレンカ・ソース和え」――パリの有名レストランで、花を「食材」として積極的に利用するケースが増えている。

 料理研究家のパトリック・ランブール(Patrick Rambourg)氏は、料理における花の「役割」について、次のように語る。
 「花は数世紀前から世界各国の料理に用いられてきたが、あくまで2次的な利用に限られていた。たとえば中世には、食堂の床に花を散らして食事中にその香りを楽しむといった利用例がある」

 そのほかにも、17、8世紀のレシピに「花のサラダ」があったり、料理の飾りとして用いられたりといった例がある。だが花は、お菓子や健康食品には頻繁に用いられてきたものの、「食材として料理に積極的に活用されてきたとは言えない」のがこれまでの現状だったという。
 「15年から20年ほど前から、料理にキンレンカがよく使われるようになったが、やはり、あくまで装飾用だった。それが今では、純粋な『食材』として活躍するようになっている」

 たとえば、ミシュラン(Michelin)の三ツ星シェフ、「Le Meurice」のヤニック・アレノ(Yannick Alleno)氏や、パーク・ハイアット・パリ(Park Hyatt Paris)のジャンフランソワ・ルケット(Jean-Francois Rouquette)氏らが、積極的に花を食材として生かしている。

 ルケット氏は最近、「イガイとフォアグラのサフラン・キンレンカ・ソース添え」や、ルリチシャの花とシェルフィッシュ・オイルで味付けした「アボカドとカニのファンタジー」といったメニューを考案し、「スペシャル・フラワー・ディナー」を提供している。

 同氏は、それぞれの花について研究した上で新メニューに合う花を選び、「単に皿に飾るのではなく、きちんとした食材として花を利用している」と語る。

 たとえばルリチシャはその香りがシーフードにぴったりで、キンレンカはわずかに唐辛子のような辛みがあり、イガイやフォアグラに合うという。ハイビスカスはトマト風味があり、ボラ料理に向いているそうだ。

 問題は料理法で、「ハーブよりもさらに繊細な」花は扱いにくい食材のようだ。ルケット氏の店では、南西部のバスク(Basque)地方からわざわざ毎日、花を仕入れている。

 「花は冷蔵庫で48時間寝かせると、強い香りが抜けてちょうどいい具合になる」と指摘するシェフもいる。いずれのシェフも、それぞれの花の味を際だたせるため、花びらだけを用いたり、花を煎じたりといった料理法を、適宜、使い分けるそうだ。(c)AFP/Dominique Schroeder