【アンカラ/トルコ 29日 AFP】イスラム教を主軸とする政府は28日、トルコ軍が国是である世俗主義を擁護すると発表したことを受け同軍と対立、国内は政治的危機に直面している。両者の対立は、27日の大統領選挙の議会投票を受けて始まった。

 選挙では、レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)首相の公正発展党(Justice and Development Party、AKP)がアブドラ・ギュル(Abdullah Gul)外相を擁立。

 同外相が大統領に就任するとの見通しは、政教分離を唱える世俗派にイスラム教が生活のいたる場面に浸透するのではとの懸念を深め、野党の投票放棄を促した。このためギュル外相の得票は当選に必要な3分の2に届かなかった。

 政教分離を強く擁護する軍部は、同国の政教分離体制が脅かされていることに強い警戒感を示し、「必要ならば、我々の立場と態度を明確に示す」と表明した。

 政府は同日、軍に自制を要求。欧州連合(EU)もトルコ軍に対し、民主主義のもと行われている大統領選挙に介入しないよう訴えた。一方で野党政党は、政治的危機の打開に向け、選挙の早期実施を求めた。

 写真はアンカラ(Ankara)で同日、赤新月社連盟(Red Crescent)の会合でのエルドアン首相。(c)AFP