【ケープカナベラル/米国 26日 AFP】英ケンブリッジ大学の天体物理学者スティーヴン・ホーキング(Stephen Hawking)博士(65)が26日、米フロリダ州ケープカナベラル(Cape Canaveral)で無重力飛行を体験した。

 同博士はブラックホールと重力の世界的な研究者。病気のためほとんど身体を動かすことができず、車椅子で生活していることでも知られている。

 2時間の体験飛行を終えたホーキング博士は、滑走路脇で開かれた記者会見で「素晴らしかった。許されるならば、何度でも繰り返せます」と語った。

 2009年に宇宙旅行をする予定のホーキング博士は、ケネディー宇宙センター(Kennedy Space Center)を訪れ、「宇宙よ、私はやって来たぞ!」と述べた。

 「宇宙旅行は昔からの夢でした。無重力飛行はその第一歩です。私の体験を多くの人にも体験してほしい」

 今回の飛行には4人の医師と2人の看護師が同行した。

 無重力飛行を実施したのは民間企業であるZero Gravity Corporation社。料金は通常3500米ドル(約41万8000円)のところホーキング博士には無料で提供した。さらに8人分の座席をチャリティーオークションにかけた。

 飛行は放物線飛行という特殊な飛行を行うために改造された同社の「G-Force One」号で行われた。同機は「ヴォミット・コメット(嘔吐彗星の意)」の異名も持つ。特別な訓練を受けた操縦士によって高度1万メートル(3万3000フィート)まで上昇した後、2500メートル(8000フィート)まで一気に下降する。最高高度に達する前後の約30秒間、無重力状態が作り出される。

 この飛行を8回繰り返し、ホーキング博士は合計で約4分間の無重力状態を体験した。

 上昇中は着席したホーキング博士だが、無重力状態が始まるところで同行の2人に持ち上げられると、博士の体は宙に浮いた。

 G-Force Oneによる無重力体験飛行は米航空宇宙局(NASA)が宇宙飛行士の訓練のため40年ほど前から行っているものと同様のものだ。(c)AFP/ROBERT SULLIVAN