【北京/中国 13日 AFP】中国指導部は2008年北京五輪の開催までに撲滅すべき「四害」として、「喫煙、路上へのツバ吐き、列への割り込み、大声でののしる行為」を挙げた。

 元来の「四害」は共産中国を創建した故毛沢東(Mao Zedong)主席が1950年代に提唱した。これにならい、現在開催中の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)で、「四害」の新版が提起された。

「新四害」は五輪組織委員会に後援される北京市当局と共産党指導部が、北京市のイメージを損ないかねない「非文明的な行為」を対象にリストアップした。「新四害にあげられている行為は些細なものかもしれないが、中国の首都たる北京のイメージに傷をつける根強い悪習だ」(全人代諮問機関のメンバー、Zi Huayun氏)。

 毛沢東の掲げた「四害」はネズミ、ハエ、蚊、スズメだったが、それらに対する撲滅運動は思わぬ結果を招いた。スズメが激減し、地方部で昆虫の大群が大発生して穀物が荒らされ、大規模な飢餓を引き起こした。

 人口1500万人を擁する北京市のマナー改善を目指した「新四害」の撲滅キャンペーンはすでに進行中で、北京五輪開催まで残り1年となる今年8月には、大々的に展開される。

 市当局は公式に「整列の日」を設け、表情が硬いといわれる市民一人一人にもイメージアップを担ってもらおうと頻繁に「笑顔キャンペーン」を展開。また、海外からの五輪関係者や観光客に対し、より上品に応対し歓迎を示せるよう、市内商店の販売員やタクシー運転手などサービス産業従事者を対象としたエチケット講習も開催している。

「新四害」のうち喫煙の追放は最も達成しにくい目標とみられている。中国は世界有数の喫煙大国で、多くのホテルや飲食店で喫煙が可能だ。五輪関係者と市当局の間では、「タバコなし五輪」実施の計画も持ち上がっている。

 写真は、北京五輪組織委員会のビル(1月18日撮影)。(c)AFP/VOISHMEL