【パリ/フランス 7日 AFP】クリスタルメーカー「バカラ」の理事会で4日、新規事業展開計画が承認された。同ブランド名でホテルとバーの経営を盛り込んだ同計画だが、未だライセンスの取得には至っていない。

■5年の月日を要していまだ不確定要素だらけ

 「同計画の承認には5年の月日を要したものの、グローバルライセンスの担当者は未だ決定しておらず、シャンブラン(Chambrun)財団とその代表のジョルジュ・ルナンド(Georges Renand)氏は当プロジェクトに対し、不賛成の姿勢を示している」との情報が伝えられた。

 2005年にシャンパンメーカー、テタンジェ(Taittinger)を買収した米スターウッド・キャピタル(Starwood Capital)社は、同社の資本の51%を所有する大株主だ。バカラの名を使用し、ホテル及びバーを開業するライセンスは同社にあると言えるだろう。

■プロジェクトの改定求め、大株主VS小株主

 しかしながら、スターウッド・キャピタル社と小株主であるシャンブラン、コニャック・ジェイ(Cognacq-Jay)両財団は、企業方針をめぐって、数ヶ月前から対立している。

 1月に招集された理事会の際、小株主は経営ライセンスに反対票を投じ、プロジェクトの改定を求めた。

 同プロジェクトにより、バカラは5年間で現在の2倍である2億6200万ユーロ(約95億円)の利益を得るとの見通しがされており、「ブティックの増設と、年1000万ユーロ(約15億3000万円)ほどの投資で(ムルト・エ・モーゼル県にあるバカラの工場での)生産量を増やしていく」事を明らかにした。

■資本投資もいまだ決定せず・・・

 一方、スターウッド・キャピタル社は、新商品の開発とともに、シャンデリアや宝石類など特定の商品に限って生産を集中させていきたい姿勢を見せている。

 また同社は、4000万ユーロの資本投資を増やす意向を示していたが、その他の株主達がこの提案に対し反対姿勢を見せていたことから、1月初旬に開かれた総会で同案は否決された。

 入手した情報によると、理事会による再総会開催のめどは立っておらず、最終的には「バカラは負債で資本をまかなうことになるだろう」と伝えている。

写真は2000年11月11日撮影。東京・恵比寿でクリスマスシーズンになると展示されるバカラのシャンデリア。(c)AFP/YOSHIKATSU TSUNO