【パリ/フランス 7日 AFP】預言者ムハンマド(Mohammed)の風刺漫画を掲載した仏週刊誌シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)を相手に、イスラム系の有力組織2団体が提訴した民事訴訟の審問が7日、開かれた。フランスの「表現の自由」の限界を試す訴訟として注目されている。

デンマークの新聞に掲載されたムハンマドの風刺画を昨年2月、エブド誌が再掲載したことに対して共同提訴したのは、パリ・グラン・モスク(Paris Grand Mosque)とUnion of Islamic Organisations of Franceの2団体。

「表現の自由」に関し、左派の日刊紙リベラシオン(Liberation)はエブド誌との連帯を示そうと同日、同じ風刺画を紙面に掲載。論説欄で「ヴォルテール(Voltaire)の国フランスでは、宗教を批判する権利がある」と主張を展開した。

パリ刑事裁判所で2日間にわたり行われる審問では、「特定グループの人々を、その宗教に基づいて公けに傷つけた」とする原告の申し立てに、エブド誌が反論する予定だ。

■ 世界規模の抗議を発生させた問題

問題の風刺画はデンマークのユランズ・ポステン(Jyllands-Posten)紙が2005年9月に初掲載したもので、その後、世界中のイスラム諸国で大規模な抗議行動が発生したが、エブド誌は2006年2月に同じ風刺画を掲載した。同誌は風刺画家Cabuさんが描いた別のムハンマドの漫画についても訴えられている。

原告2団体は、これらの風刺画はイスラム教とテロリズムを乱暴に結びつけていると主張し、3万ユーロ(約470万円)の損害賠償を求めている。またエブド誌に対し、原告側が勝訴した場合には、表紙に判決結果を掲載するよう同誌に要求している。

写真は7日、裁判所に到着したエブド誌のPhilippe Val編集長(左)。(c)AFP/JACK GUEZ