【ロサンゼルス/米国 27日 AFP】映画界の鬼才、デビッド・リンチ(David Lynch)監督が、映画は死んだと語った。


■デジタル革命で得られるもの

 「ブルー・ベルベット(Blue Velvet)」や「イレイザーヘッド(Eraserhead)」、「エレファント・マン(The Elephant Man)」など人間の闇の部分を顕にした衝撃作を多く手掛けてきたリンチ監督は、自身がデジタル革命の一部になったという。

 「映画は美しい媒体だ。機械も、カメラも、この上ない美を有している。しかし、そういう物を使った映画制作はもう過去のものになってしまった」リンチはAFPに語った。

 同監督の最新作「Inland Empire」は3時間に渡るミステリーだが、全編がデジタルで撮影されていることに批評家たちは首をかしげている。

 しかしリンチは、もうこれから従来の映画制作に戻るつもりはないという硬い意思を示す。

 「伝統的なカメラは鉛のようだ。ドリー(移動式撮影機代)はかさばるし重い。全てが大きくて遅い。カメラを動かす度、セットを再度照らさなければならない。とにかく遅すぎるんだ」。デジタルカメラを使うことによってリンチはリアルタイムで撮影、編集ができるようになった。これまではフィルムの現像に24時間待つ必要があった。

 「これによって、現場で生まれるその瞬間のマジックを時間のかかる作業によって失うことなく仕事ができる。もう過去の映画制作には戻れない。まるで時代遅れだ」

■新著書をプロモート

 これは新著書「Catching the Big Fish」の21日に行われたプロモーション会見の席でリンチが語ったもので、同書ではリンチ流のアイディア思いつき法や、日常的な瞑想がもたらす創造力への効果が綴られている。

 リンチは又、ニューヨーク、ワシントン、ハリウッドにスコットランド人歌手のドノヴァン(Donovan)が参加する米国ミニツアーも行っている。

 これまで表には現れない人間の暴力性などをテーマに映画を撮ってきたリンチが、人の内面的な幸せを伝える本を出版するというアイロニーは、自ら承知していると述べた。リンチは又、瞑想により得られた心の平和に、映画のテーマが影響される必要はないとも語った。「もし、瞑想によって幸福感が得られ、リラックスできても、仕事に対するパワーがなくなってしまったら、瞑想をする意味はないだろう」。(c)AFP/Robyn BECK