【ロサンゼルス/米国 17日 AFP】アカデミー賞の前哨戦ともいわれる第64回ゴールデングローブ賞(The 64th Annual Golden Globe Awards)の授賞式が15日、ロサンゼルスで開催され、「ドリームガールズ(Dreamgirls)」が映画部門の「最優秀作品賞」に輝いた。しかし、映画評論家たちは、同作品はアカデミー賞(Academy Awards)は獲得できないと予想している。

「ドリームガールズ」は、エディ・マーフィー(Eddie Murphy)が「最優秀助演男優賞」、ジェニファー・ハドソン(Jennifer Hudson)が「最優秀助演女優賞」をそれぞれ受賞。合計3部門での受賞となった。

■アカデミー賞は「ディパーテッド」と「バベル」の一騎打ち

 しかし、映画評論家たちは、アカデミー賞の作品賞については、マーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)監督の「ディパーテッド(The Departed)」とアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(Alejandro Gonzalez Inarritu)監督の「バベル(Babel)」との一騎打ちになるとみている。

「バベル」は、ゴールデングローブ賞でドラマ部門の「最優秀作品賞」を受賞しているものの、アカデミー賞を過去に何度も逃しているスコセッシ監督への同情から、「ディパーテッド」が一歩リードしていると言っても過言ではないようだ。

 ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)紙の「theenvelope.com」にコラムを寄せているトム・オニール(Tom O’Neil)氏も、「投票権を持つメンバーの話や、アカデミー関係者から漏れ聞こえてくる声を総合すると、『ディパーテッド』が作品賞に選ばれる公算が大きい。『ドリームガールズ』と『バベル』が、ゴールデングローブ賞をとったことでオスカーの有力候補に躍り出たのは確かだが、アカデミー賞の作品賞を過去に5回逃した経験を持つスコセッシ監督をアカデミーは応援するだろう」とAFPに語った。

「アカデミー賞では、『受賞を逃したことがある』というのは非常に大きな要素なのです」と、オニール氏。実際、ロン・ハワード(Ron Howard)監督の「ビューティフル・マインド(A Beautiful Mind)」が、酷評されていたにもかかわらず2001年のアカデミー賞で作品賞を受賞できたわけは、オニール氏によると「ロン・ハワード監督の年だったから」とのこと。

「movies.com」の編集ディレクターであるルー・ハリス(Lew Harris)氏も、「ドリームガールズ」はアカデミー賞の圏外であると断言した。しかしながら、全くの圏外だった「バベル」がゴールデングローブ賞を受賞したように、「ドリームガールズ」がアカデミー賞を受賞して「サプライズ」を起こす可能性もなくはない、と語った。「ゴールデングローブ賞のときは、『ディパーテッド』と『父親たちの星条旗(Flags of Our Fathers)』のどちらかが作品賞をとると言われてきたが、直前になって『バベル』が有力候補の一つに上ってきた。(したがってアカデミー賞の予想も、余談を許さない)」とハリス氏は語った。

■エディー・マーフィーの受賞はない?

「ドリームガールズ」で「最優秀助演男優賞」をとったエディ・マーフィーがアカデミー賞の「助演男優賞」も受賞するかについて、先のオニール氏は、「ゴールデングローブ賞の授賞式でぱっとしないスピーチをしたため、その可能性はなくなった」と語った。「ゴールデングローブ賞は、アカデミー賞のオーディションも兼ねているのです。2005年に受賞したヒラリー・スワンク(Hilary Swank)みたいに授賞式で観客に『ワオ!』などと叫んだら、オスカーは遠のきます。観客の涙を誘うようなスピーチを行っても、『アカデミー賞で同じ涙は見たくない』という心理が働いてしまいます」

「スピーチでこけたエディ・マーフィーは、オスカーの最有力候補としての地位を台無しにした可能性がある。きらびやかな演出が求められているのに、彼は場をしらけさせた」(オニール氏)

 今年度のアカデミー賞のノミネート作品は、23日に映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences)から発表され、授賞式は2月25日にハリウッド(Hollywood)で開催される。(c)AFP