複雑な面構成のデザインで究極の超薄型に挑み、世界記録を次々に樹立してきた「オクト フィニッシモ」で次にどのようなモデルを発表するのか興味が尽きないブルガリ。ドバイ2020におけるハイライトのひとつは、ピンクゴールドで新たに作られた「オクト フィニッシモ ミニッツリピーター」。極薄の3.12mmに最高峰の複雑機構を収めた独自のムーブメントは、今回も圧巻だ。また、シルキーな光沢感がメタルに上質感をもたらすサテンポリッシュ仕上げのスティールやゴールドの超薄型自動巻きモデルも、スタイリッシュな表情が新たな魅力を放ち、なんともお洒落。
シンプルな自動巻きの中2針スモールセコンドの新作は、ステンレススティール素材にサテンポリッシュという新たな仕上げを施し、「オクト」独特のスポーティルックに上質感をプラス。濃密なブラックラッカー仕上げのダイアルも見所だ。ケース直径40mm、厚さ5.25mm、10気圧防水。税別予価129万円。7月発売予定。
チタンやカーボンに続く新作は、サンドブラスト加工を施したピンクゴールドをケースやダイアル、リュウズ、ミニッツリピーターのプッシュボタンに採用。手巻きのミニッツリピーター・ムーブメントBVL362は、3.12mmの極薄で時計全体も6.9mmという破格の薄さ。ケース直径40mm、3気圧防水。税別予価1900万円。
構築的なデザインや超薄型化の次に注目したいのは、ジュエラーの持ち味を生かした仕上げの妙。ポリッシュとサテン仕上げの良さを融合したような今回の"サテンポリッシュ"は、艶っぽさとマットな質感が素晴らしい。仕上げ職人にとってはこれもまた挑戦だろう。
毎年、意欲的に複雑な機能を搭載したモデルにて世界最薄記録を実現し、技術力においても高い評価を受けるブルガリ。ピンクゴールド製のミニッツリピーターの新作は、見て、触れて、なによりも心地良い音を耳で楽しめる。まさに五感を刺激する官能的な仕上がりだ。
文=菅原 茂(時計ジャーナリスト)/前田清輝(ENGINE編集部シニア・エディター[時計担当])
(ENGINE2020年5月号)
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