あくまでも独自路線を貫いて機械式時計を発表し続けるオリエントには熱心なファンが日本のみならず海外にも多い。そのオリエントは今年で70周年を迎える。これを記念して、オリエントらしさを象徴するモデルをリバイバルコレクションの名のもとに発表。第1弾の目玉は、1965年の初代モデルを現代に復刻した「キングダイバー」だ。今では入手困難なオリジナルが随所に改良が施された高品質の現代モデルに姿を変えて販売されるのは、コアな愛好家にとっては朗報だ。また、レトロやヴィンテージをファッション感覚で楽しむにも最適の1点だろう。
1965年に誕生した初代モデルのロゴやインデックス、漢字表記による曜日、内装回転リング用のリュウズなどを極力忠実に再現。70年代に一世を風靡した人気のジャガーフォーカスモデルを模したグラデーションダイアルも絶妙だ。自動巻き。ステンレススティール+ブロンズ色めっき、ケース直径43.8mm、20気圧防水。1000本限定。税別4万5000円。
上位ブランドの「オリエントスター」は、高品質の自社ムーブメントを搭載し、パワーリザーブインジケーターやスケルトンのデザインなどに特色がある。フラッグシップを演じる月齢表示モデルにネイビーダイアルとメタルブレスレットを組み合わせた新作が仲間入り。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径41mm、5気圧防水。税別17万円。
1960年代から70年前後のあたりは、腕時計のデザインが最も自由で斬新だった時代。この「キングダイバー」復刻にもそうした雰囲気が色濃く漂う。懐かしさ全開のデザインからは高度成長期のワクワク感が甦り、楽しい気分に誘うから、こういう復刻は大歓迎だ。
機械の鼓動する様がダイヤルから覗くメカニカルムーンフェイズは、針やダイヤルの仕上げも視認性を高めて美しいのが魅力。交換用のワニ革ストラップも付くため、着こなしに合わせて2本の時計を持つ喜びも手に入る。それでこの価格なのだから驚きだ。
文=菅原 茂(時計ジャーナリスト)/前田清輝(ENGINE編集部シニア・エディター[時計担当])
(ENGINE2020年5月号)
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