【10月13日 AFP】アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)が第2次世界大戦直前、ユダヤ人をナチス(Nazi)の迫害から救出した行為に感謝して記した手紙が11日、ロサンゼルス(Los Angeles)で競売にかけられ、予想落札価格を倍上回る1万3936ドル(約107万円)で落札された。

 タイプライターで書かれた手紙はニューヨーク(New York)の実業家ハイマン・ジン(Hyman Zinn)氏に宛てたもので、1939年6月10日の日付があり、米プリンストン(Princeton)の自宅住所の浮き彫りが入っている。
 
 文面は、ユダヤ人をナチスの迫害から守る仕事をしたジン氏への感謝の言葉が並ぶ。「あなたは迫害されている同胞のユダヤ人たちを悲惨な危機的状況から救い出し、より良い未来に向かわせるという大変大きな貢献をした。心から感謝せずにはいられません」

 競売会社ネイト・D・サンダース(Nate D. Sanders)によると、手紙は入っていた封筒とセットで出品された。保存状態は極めて良いという。

 アインシュタインはアドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)が政権に就いた1933年、ドイツを離れ、米国に移住した。手紙の中でアインシュタインは、ユダヤ人は先祖たちにならって互いに助け合わなければならないと説いている。

「抵抗の力がユダヤ人を数千年間存続させてきた。そしてこの力は、相互に助け合うという伝統に大きく依拠してきた」「この困難な時代にわれわれに相互扶助の用意があるだろうか。これは極めて過酷な試練だ。先人たちがやってきたように、この試練に立ち向かおうではないか」

 こうも記している。「われわれには団結と知識のほかに自分たちを守るすべがない。知識とは、極めて重要で神聖な大義のために苦しんでいることをわれわれが知っているということだ」(c)AFP