BP原油流出事故、微生物によるメタンガス分解は限定的 研究

05月13日 16:05


米ルイジアナ(Louisiana)州グランド・アイル(Grand Isle)島の海岸(2014年4月19日撮影、試料写真)。(c)AFP/Getty Images/Sean Gardner


【5月13日 AFP】2010年のメキシコ湾(Gulf of Mexico)原油流出事故で漏れ出たメタンガスが、水中の微生物によって完全に分解されず、以降数か月にわたって水中に高濃度で残っていたことが分かった。科学者らが、11日の英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」で発表した。

 2010年4月20日に起きた、英エネルギー大手BPの石油掘削施設「ディープウォーター・ホライゾン(Deepwater Horizon)」の爆発事故では、最大20万トンの天然ガスが漏れ出たが、このうち80%がメタンだった。

 事故後、現場付近の海域では、メタンガスを分解するバクテリアの「大量発生」が起きた。このバクテリアの発生により、海水の酸化や大気への放出などが妨げられたという。メタンガスの大気への放出は、地球温暖化の加速につながりかねない。

 バクテリアの発生は極めて「劇的」で、8月末頃の調査では、全流出ガスの分解終了を示唆する報告がなされていた。

 しかし米科学者たちがこのたび発表した研究によると、バクテリアは6月の終わりに急速に減少し、海域のメタン濃度は基礎濃度の5000倍だったことがわかった。バクテリアはメタン除去に大きく貢献したが、その数はガスの流出が続いていた時期にすでに減っていたという。

 最終的に流出が止まったのは、事故から83日後の7月15日だった。

 今回の研究は米ジョージア大学(University of Georgia)のサマンサ・ジョイ(Samantha Joye)氏が主導した。研究では、分解されずに残ったガスの量についての推定は行われていない。(c)AFP