ドイツ首相、COP30開催地を「あんな所」呼ばわり ブラジル人が猛反発
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【11月19日 AFP】ドイツのフリードリヒ・メルツ首相が国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の開催地ブラジル・ベレンを「あんな所」と批判したのを受け、ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領は18日、メルツ氏はダンスに出かけてもっとベレンを楽しむべきだったと述べた。
保守派のメルツ氏は、今年のCOP30の開催地に意外にも選ばれた、高温多湿のアマゾン川流域の都市ベレンに、あまり感銘を受けていない様子でベルリンに戻り、「私たちは世界で最も美しい国の一つに住んでいる。先週、ブラジルに同行した記者たちに、『ここに残りたい人はいるか?』と尋ねたが、誰も手を挙げなかった」「あんな所からドイツに戻れたことを皆が喜んでいる」と述べた。
ルラ氏はインフラ不足や深刻なホテルの客室不足への懸念を一蹴してパラ州ベレンをCOP30の開催地とし、世界最大の熱帯雨林を会議の中心に据えようとした。
メルツ氏の発言に対しルラ氏は、メルツ氏はベレンにあるボテコ(軽食を提供するくつろいだ雰囲気のバー)に行くべきだったと主張。
「彼はパラで踊るべきだった。パラの料理を味わうべきだった。そうすればベルリンではパラが提供するクオリティーの10分の1も得られないことに気付けたはずだからだ」と述べた。
メルツ氏の発言には地元当局も猛反発。ソーシャルメディアでは、2014年サッカーW杯で開催国ブラジルがドイツに1対7で惨敗した「ミネイロンの惨劇」になぞらえて冗談を飛ばすブラジル人もいた。
パラ州のエルデル・バルバリョ知事は、メルツ氏の発言を「偏見に満ちている」と強く非難。
X(旧ツイッター)への投稿で、「地球温暖化に貢献してきた人々がアマゾンの暑さに驚いているのは興味深い」と述べた。
イゴール・ノルマンド市長もXで、「残念ながら、ドイツ首相の演説は傲慢(ごうまん)さと偏見に満ちていた。ベレンの街頭で私たちの街への愛着を示している国民とは正反対だ」と述べた。
ジャーナリスト、ジャミル・シャデ氏は18日、ニュースサイトUOLに「メルツ氏、あなたの外国人嫌悪は新たなベルリンの壁だ」と題したコラムを掲載した。
ブラジル版のレディットでは、パラ州民だと名乗るユーザーが、メルツ氏の発言は、今や伝説となった「ミネイロンの惨劇」ほどには痛くないと述べた。
この騒動を受けて、ドイツ首相府は事態の収拾を図った。
ドイツ首相府の報道官は18日、「メルツ首相は、時間の制約によりアマゾン地域の素晴らしい自然美を十分に体験できなかったことを遺憾に思っている」「ベレンでこのような重要な国際会議を開催できた功績に深く敬意を表す」と述べた。(c)AFP