フィンランドのマリン前首相、女性内閣は前時代的な「性差別」に直面
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【11月5日 AFP】フィンランドのサンナ・マリン前首相は4日に出版された回顧録の中で、在職中に自身が率いる政権が経験したオンライン上の性差別について言及した。
マリン氏は2019年、34歳の若さで世界最年少の首相に就任。マリン氏率いる中道左派連立政権5党の党首は全員女性、うち4人は35歳未満だった。
マリン氏は回顧録「Toivo on tekoja(希望は行動の中に)」の中で、就任直後に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)を乗り越えた経験や、同国にとって歴史的な北大西洋条約機構(NATO)加盟申請プロセスをいかに主導したかをつづっている。
AFPは本書のフィンランド語版を読み、必要な部分を翻訳して引用した。
マリン氏は当初フィンランドでもあまり知られない存在だったが、世界で最も認知度の高い指導者の一人となり、メディアからは「ロックスター首相」と呼ばれた。
マリン氏は、自身の性別と年齢がメディアや国民からの扱いにどのように影響したかを論じ、自身率いる政権が直接経験した女性蔑視的なオンラインハラスメントを例に挙げている。
連立政権5党の女性党首たちは、「絶え間ないオンライン脅迫にさらされた。ほとんどは性的な内容だった」という。
「レイプなどの性的暴行の脅迫を何度も受けた、数え切れないほど」とマリン氏はつづっている。
マリン氏は、連立政権が「口紅政府」や「少女政府」という蔑称で呼ばれたことについて、「私たちの能力とリーダーシップは、絶えず疑問視されていた」が、疑いを差しはさむ人々は疑うに足りる相当な理由を示そうとすらしなかったという。
マリン氏はさらに、「現代社会というより、女性が男性の付き添いなしではレストランに行くことが許されなかった時代を彷彿(ほうふつ)とさせるような道徳観を植え付けられた」と述べている。(c)AFP