【10月11日 AFP】米国を拠点とする2019年のノーベル経済学賞受賞者、エステル・デュフロ氏とアビジット・バナジー氏の夫妻が、スイス・チューリヒ大学(UZH)に間もなく着任し、開発経済学センターを設立する予定だ。同大学が10日、発表した。

現在米マサチューセッツ工科大学(MIT)に勤務する夫妻は、来年7月からUZHの経済学部に加わる予定だ。

2019年のノーベル経済学賞をマイケル・クレマー氏と共に「世界の貧困軽減に対する実験的アプローチに対して」で受賞した夫婦が、なぜ米国を去ることを決めたのかについて、声明は言及していない。

だが、専門家たちは、ドナルド・トランプ米大統領による研究予算削減と大学の学問の自由への攻撃が、頭脳流出につながる可能性があると警告しており、一部の国が米国の研究者を誘致しようとしている。

米国とフランスの二重国籍を持つデュフロ氏自身も3月、仏紙ルモンド紙の社説に署名し、米国の科学に対する「前例のない攻撃」を非難していた。

デュフロ氏とインド出身のバナジー氏は、それぞれレマン財団の資金提供によって恒久的に設けられた教授職に就く予定だという。

また、両氏は開発・教育・公共政策のためのレマンセンターを新たに設立し、共同で主導する。同センターは、政策関連研究を促進し、世界中の研究者と教育政策立案者を結びつけることを目的としている。

両氏はMITの非常勤職は継続するという。(c)AFP