【9月21日 AFP】米国防総省が、米軍を取材する報道機関に対して新たな制限を発表した。報道関係者は、正式に承認されていない情報を公開しないことを誓約し、国防省内での行動も制限されることになる。

この新指針は19日に記者らに配布された長文の覚書に記されており、報道関係者は順守を誓う宣誓書に署名しなければならず、拒否すれば報道資格を失う可能性がある。

前日にはドナルド・トランプ米大統領が、自身に対するネガティブな報道は「違法」である可能性があると示唆しており、米政権による新たな報道統制の動きとなっている。

覚書には「情報は、たとえ機密でなくても、適切な承認者によって公開が許可されるまでは公にしてはならない」と記されており、匿名の情報源による報道を事実上禁止する内容となっている。また、記者が公式の同行者なしに立ち入れる場所に対する大幅な制限も詳述された。

ピート・ヘグセス国防長官はX(旧ツイッター)に「ペンタゴンを運営するのは報道ではなく国民だ」「報道関係者が安全施設内を自由に歩き回ることはもはや許されない。バッジを着けて規則に従え。従えないなら帰れ」と投稿した。

数か月前にヘグセス氏は、イエメンの親イラン武装組織フーシ派に対する空爆計画を、記者が誤って含まれていた通信アプリ「シグナル」のグループチャットで漏えいしたとして、厳しい批判を受けていた。

トランプ氏の批判対象となることが多い米紙ニューヨーク・タイムズの広報担当は、この新ルールについて「米軍が税金で行っている活動へのアクセスを制限する、懸念すべき傾向のさらなる一歩だ」と述べた。

全米記者クラブのマイク・バルサモ会長も批判の声を上げ、速やかな撤回を求めている。

「軍に関する報道が政府の事前承認を必要とするのであれば、国民はもはや独立した報道を受け取っているとは言えない」としたバルサモ氏は、「それでは政府が見せたいものだけを国民が見ているということだ。すべての米国人が警戒すべき事態だ」と続けた。(c)AFP