【8月14日 AFP】14日に公表された100以上の団体が署名した共同声明によると、外国の援助団体を規制するイスラエルの新規則が、パレスチナ自治区ガザ地区への人道支援物資搬入申請を却下するために利用されるケースがますます増えている。

外国の支援を受ける援助団体とイスラエル政府は長らく緊張関係にあり、イスラエル当局者はこれらの団体が偏見を持っているとしばしば訴えている。

この不安定な関係は、2023年10月にイスラム組織ハマスがイスラエルに対して前例のない攻撃を行った後、さらに悪化した。

共同声明は、「イスラエル当局は、数十の非政府組織(NGO)からの人道支援物資の搬入申請を、『これらの団体は援助物資を届ける権限がない』として却下した」と述べている。

オックスファムや国境なき医師団(MSF)などが署名した共同声明によると、7月だけで少なくとも60件のガザへの支援物資搬入申請が却下された。

イスラエル政府は3月、パレスチナ人に協力する外国のNGOに関する新たな規則を承認した。

この規則は、援助団体がイスラエル国内での地位を維持するために登録する方法の枠組みを改正するとともに、登録申請を拒否したり登録を取り消したりする方法についても規定している。

援助団体がイスラエルの民主的性格を否定したり、イスラエルの権威を失墜させるキャンペーンを推進していると判断された場合、登録を拒否される可能性がある。

イスラエルのディアスポラ・反ユダヤ主義闘争相、アミハイ・シクリ氏は、「残念ながら、多くの団体が援助活動を敵対的、時には暴力的な活動の隠れみのにしている」「敵対的または暴力的な活動やボイコット運動とのつながりのない組織には活動許可が与えられる」とAFPに語った。

だが、援助団体は、この新規則によってガザ住民が支援を受けられなくなっていると訴えている。

パレスチナ自治区の慈善団体ケアのディレクター、ジョリアン・フェルドウェイク氏は、「私たちの使命は人命を救うことだが、(新規則による)登録制限のために、民間人が緊急に必要な食料、医薬品、そして保護を受けられなくなっている」と述べた。

イスラエルは3月上旬から2か月以上にわたってガザを完全封鎖し、5月下旬に封鎖を緩和した。

フェルドウェイク氏によると、ケアは3月の完全封鎖以来、ガザへの支援を一切行えていないという。

イスラエルは長年、ハマスがガザに搬入される支援物資を盗んでいると非難しており、5月以降、ガザでの人道支援物資の配給拠点の運営を同国と米国の支援を受ける「ガザ人道財団(GHF)」に委託している。

ガザの民間防衛当局によると、配給拠点には毎日何千人もの住民が殺到して混乱が生じ、イスラエル兵らに射殺される人も出るなど、GHFの活動はしばしば損なわれている。(c)AFP