【8月12日 AFP】スペインの左派政権は11日、ある町に対し、公共スポーツ施設での宗教行事の禁止措置を撤回するよう命じた。この措置は、長年続くイスラム教の祝祭を阻止することを目的としたものだと批判されている。

ムルシア州南東部のフミーリャ町議会は先週、中道右派・国民党(PP)の支持を得て、この禁止措置を承認し、同町の「伝統的価値観の促進と保全」を目指していると説明した。

極右政党「ボックス」が、市長(国民党)の予算案を支持する見返りとして、禁止措置を求めていた。

スペイン政府は直ちにこの措置を非難し、エルマ・サイス包摂・社会保障・移民相は「人種差別的な動議」と呼んだ。

アンヘル・ビクトル・トレス地域政策・民主的記憶相は11日、X(旧ツイッター)で、中央政府がフミーリャ町議会に対し、憲法違反を理由としてこの禁止措置の撤回を正式に命じたと発表した。

フミーリャはワインの産地として知られ、人口は約2万7000人。イスラム教徒が多く居住しており、その多くは農業に従事している。

イスラム教徒コミュニティーは長年にわたり、イスラム教の断食月「ラマダン」明けの祝祭「イード・アル・フィトル」などの祝祭の会場といて、公共スポーツ施設を利用してきた。

スペインのカトリック教会でさえフミーリャでの禁止措置について、宗教的表現は信教の自由の権利によって保護されているとして批判した。

だがボックスのサンティアゴ・アバスカル党首は、教会の姿勢に「困惑している」と述べ、公的資金や、聖職者による性的虐待スキャンダルによって協会が「口封じ」された可能性を示唆した。

ムルシア州の別の町では数週間前に、北アフリカ出身の若者が退職男性を暴行した事件をきっかけに、極右団体と移民が数夜にわたって衝突したばかり。(c)AFP