【8月9日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領は8日、名門カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)など10校で構成されるカリフォルニア大学(UC)システムに対し、罰金10億ドル(約1480億円)の支払いを要求した。トランプ政権は、2024年のイスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区に抗議する学生デモに対するUCLAの対応について、反ユダヤ主義的だったと主張している。

この金額は、同様に反ユダヤ主義で告発されたコロンビア大学が支払いに同意した額の5倍に相当する。

UCシステムを統括するジェームズ・ミリケン総長は、8日に10億ドルの要求を受け取り、検討中だと述べた。

さらに、「公立大学として、私たちは血税を管理する立場にある。これほど巨額の金額の支払いは、わが国最大の公立大学システムを完全に壊滅させるだけでなく、学生とカリフォルニア州民全体に甚大な損害を与えることになる」「この偉大な国の国民は、人命を救い経済を成長させ、国家安全保障を守る技術や治療法に関して、UCLAとUCシステムの極めて重要な研究に頼っている」と述べた。

UCの理事でもあるカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は8日の記者会見で、「訴訟を起こす」と述べ、トランプ氏が学問の自由を封じ込めようとしていると非難した。

ニューサム氏は「トランプ氏が命令に従わなければ10億ドルの罰金を科すと脅迫してきた」と述べ、UCシステムを「カリフォルニア州が米経済の支柱であり、他のどの州よりも多くの科学者、エンジニア、ノーベル賞受賞者を輩出している理由の一つだ」と称賛した。

報道によると、トランプ氏は10億ドルについて分割払いを求めている。また、ユダヤ人学生や差別を受けたとされる人々に補償をするための基金に、1億7200万ドル(約254億円)を拠出するよう要求している。

UCシステムは、既にUCLAへの医療・科学助成金5億ドル(約738億円)以上を凍結されており、苦境に立たされている。

この動きは、トランプ政権がコロンビア大学から譲歩を引き出すために用いた手法と似ている。同政権は、ハーバード大学にも譲歩を迫っている。

コロンビア大学との合意には、入学選考や採用において人種を考慮することを禁じる規則を順守することの誓約など、さまざまな譲歩が含まれている。

ニューサム知事は、「われわれは、学問の自由、そしてこの特別な公的機関に対するこのような攻撃に加担することはない。異なる道を歩んだ他の機関とは違う」と述べた。

トランプ氏は1月に復帰して以来、大学を標的としてきた。

トランプ氏の支持基盤である「米国を再び偉大に(MAGA)」運動は、大学や学界をリベラル過ぎるエリートの集まりで、トランプ支持者に人気のエスノナショナリズム(民族を基礎としたナショナリズム)に敵対するものと見なしている。(c)AFP