【7月25日 AFP】ドイツ国防省は24日、防衛力強化計画の一環として、18歳の男性に課す徴兵検査を受ける義務を復活させると発表した。

保守派のフリードリヒ・メルツ首相は、ロシアによる脅威と、ドナルド・トランプ米大統領が米国による欧州安全保障への関与を疑問視していることを受け、貧弱なドイツ連邦軍の強化を最優先事項としている。

この取り組みは、当面は志願兵の募集を目的としているが、定員に満たない場合には、兵役義務を課す規定も盛り込んでいる。

来月閣議に提出される法案では、すべての若いドイツ人男性は、兵役への準備状況と意欲について質問票への記入を義務付けられる。

若い女性は任意で回答できる。

2028年からは、入隊の意思の有無にかかわらず、すべての18歳男性が徴兵検査を受けることを義務付けられる。

法案では、安全保障環境を理由に必要と判断され、議会が明示的に承認した場合には、徴兵制を復活することも規定されている。

ドイツはアンゲラ・メルケル政権下の2011年、徴兵制を正式に停止した。

メルツ氏は、「欧州最強の通常軍」の構築を目指し、厳格な債務抑制策から国防費をほぼ免除する抜本的な改革を実施した。

ドイツ連邦軍の現在の兵力は現役約18万人、予備役は4万9000人だが、新兵採用に苦戦している。

国防省は今年、前年比5000人増となる1万5000人の入隊を見込んでいる。

最終的な目標は、総兵力を現役26万人、予備役20万人の計46万人とすることだ。

政府は今のところ、兵力増強を志願兵に頼る計画で、2031年までに毎年4万人の入隊を見込んでいる。

また、新技術や語学の訓練などを通じて、兵役の魅力を高めたいとも考えている。

近隣の北欧スウェーデンは、2010年に徴兵制を廃止したが、2017年に復活させた。(c)AFP