【5月2日 AFP】米トランプ政権は1日、子どもや若者に対するジェンダー関連の医療介入について包括的に検討したとする報告書を公表し、思春期抑制剤や手術には「重大なリスク」が伴うと警鐘を鳴らした。

報告書は約400ページにわたり、著者名の記載がないなど科学的な手続きを欠いているとの批判もあるが、米保健福祉省(HHS)は「プロセスの整合性を保つための措置」だとして正当性を主張している。

若年層に対するジェンダー医療は、世界的に見ても極めて意見の分かれる分野だ。医療専門家らは、心理的苦痛の軽減や患者の自己決定権の尊重といった倫理的配慮と、成長過程にある身体や精神への科学的に裏付けられた安全な介入との間で慎重なバランスを求めている。

しかし、軍からの排除、公的文書からジェンダー・アイデンティティに関する記述を削除しようとするなど、トランプ政権が過去にとってきた一連の政策により、今回の報告書の客観性には疑問の声も上がっている。

報告書は、ジェンダー肯定医療に関して「不妊、性機能障害、骨密度の低下、認知機能への影響、心血管および代謝性疾患、精神疾患、外科的合併症、そして後悔」などのリスクがあると指摘している。

米国立衛生研究所(NIH)のジェイ・バタチャリア所長は、「私たちの義務はこの国の子どもたちを守ることであり、未検証かつ不可逆的な医療介入にさらすことではない。私たちは活動家の声ではなく、科学のゴールドスタンダードに従うべきだ」と述べた。

一方で、カリフォルニア州の家庭医で非営利団体「リプロダクティブ・ヘルスのための医師団」メンバーであるアイシャ・メイズ医師は、この報告書を「プロパガンダだ」と非難。「トランスジェンダーの人々が自分らしく生きるために受けている、完全に安全で有効かつ科学的根拠に基づく医療の正当性を損なおうとするものだ」と強く批判した。(c)AFP