湖南省、インターネット病院でのAI処方を全面禁止
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【2月27日 東方新報】湖南省(Hunan)医療保障局は最近、「基本医療保障定点小売薬局の管理を強化する通知」(以下「通知」)を発表し、インターネット病院で人工知能(AI)を用いた自動処方を禁止することを明確に規定した。この内容が公表されると、ネットユーザーの間で大きな注目を集めた。
実際、このような規制は3年前に発表された「インターネット診療監督細則(試行)」でもすでに定められており、「処方は診察を行った医師本人が作成しなければならず、AIを用いた自動生成は禁止」と明記されている。
2月23日、「医改界」の創設者であり、AI病院運営管理研究院の院長である魏子檸(Wei Zining)氏は、AIによる処方が禁止されているのはAIがあくまで医師を補助するためのツールであり、治療方針の決定や薬の処方は医師が最終判断を下す必要があるためだと述べた。
「AIは、画像診断のサポートや資料の整理には役立つが、患者の治療方針の決定や処方は医師の判断に委ねられるべき。少なくとも今後数十年は、AIは医師の補助に留まり、医師の業務を代替することはできない」と魏氏は強調した。
湖南省の「通知」では、インターネット病院が省の電子処方センターに接続し、電子処方を流通させる際、AIを用いた自動生成は禁止されている。また、患者またはその家族との十分なコミュニケーションが求められ、AIによる診察の代行は認められていない。
国家衛生健康委員会と国家中医薬局が2022年に発表した「インターネット診療監督細則(試行)」でも、「診察は医師本人が行うこと」「AIや他者が医師に成り代わって診療を提供することは禁止」といった規定が明文化されている。
現在、AIは医師の補助として画像診断やデータ分析に利用されているが、診療や処方の最終判断は医師が行っている。北京市の三甲病院(トップクラスの病院)の心臓内科医は、「処方をAIに任せることはなく、医師が責任を持って処方を行っている」と述べている。
最近、複数の病院や医療機関がAIツールの深度求索(DeepSeek)を導入している。例えば、安徽省(Anhui)阜陽市(Fuyang)人民病院では、DeepSeekを利用して膨大な症例データを分析し、潜在的な疾患のパターンを発見するなどの試みが行われている。また、DeepSeekの自然言語処理技術を活用して、患者の症状に基づいた適切な診療科や医師の推薦も行っている。
西安市(Xi'an)の大型三甲病院でも、「AIは誤診の可能性がある病巣を検出し、医師に警告を与える」など、誤診率の低減に役立てられている。
河南省(Henan)沢槿弁護士事務所の付建(Fu Jian)氏は、「AIには処方権がないため、AIの診断や処方はあくまで参考情報に留まり、最終判断は医師が行う必要がある」と説明している。
また、「AIの処方をそのまま使用して問題が発生した場合、責任は医師が負うことになる」とも述べている。
北京藍鵬弁護士事務所の張起淮(Zhang Qihuai)氏は、「DeepSeekをはじめとするAIツールの出力内容はあくまで参考であり、専門医の判断を代替することはできない」と強調している。また、「患者がAIの提案をそのまま使用して問題が発生した場合、法律上の責任はDeepSeekにはなく、患者自身がリスクを負う」ことも指摘している。
湖南省の「AIによる自動処方の禁止」は、医師の専門知識と判断を重視し、AIはあくまで補助ツールと位置づけている。AIは診断支援やデータ分析では有効だが、診療の最終判断や責任は医師が担うべきだという立場を明確にしている。今後、AI技術の進展と規制の調和が、医療分野におけるAIの役割を左右することになるだろう。(c)東方新報/AFPBB News