【5月14日 AFP】欧州における性的少数者(LGBTQ)に対する暴力やハラスメントの件数は、ここ数年で「過去最多」に上っているとの調査報告書を欧州連合(EU)機関が13日、発表した。

 オーストリアのウィーンに本部を置く欧州基本権庁(FRA)は2023年、EUの27加盟国とアルバニア、北マケドニア、セルビアのLGBTQの10万人以上を対象に、この種の調査としては最大規模のアンケートを実施した。

 調査実施前の5年間に、身体的攻撃または性的攻撃を受けたと答えた割合は14%に上り、2019年比で3ポイント増加した。

 暴力を受けたことがあると答えた割合は10人に1人以上で、19年に比べて微増。憎悪を動機とするハラスメントを受けたのは、19年は3人に1人だったのに対し、2人に1人以上に増加している。

 また、学校でのいじめも急増しており、いじめを受けたことがあると答えた割合は19年は2人に1人だったのに対し、3人に2人以上に急増した。

 一方で、調査前の1年間では差別を経験したと答えた割合は36%で、19年の42%より減少。報告書は、社会の寛容度が「少しずつ上がっている」表れだとしている。

 FRAのシルパ・ラウティオ(Sirpa Rautio)事務局長は、「自身の性的指向を公表する人が増えてきている」としながら、「日常的なハラスメントや学校でのいじめ、憎悪犯罪、驚くほど高い暴力の発生率は、別の現実を物語っている」と警鐘を鳴らす。

「大半の(LGBTQの)人々は攻撃されるのを恐れ、今なお人前ではパートナーと手をつながないようにしている」と指摘した。(c)AFP