【5月10日 AFP】米電子機器大手アップル(Apple)は9日、タブレット端末「iPad(アイパッド)プロ」の新型機の広告で、人間の創造性に関する物をプレス機で押しつぶす動画を使ったことにクリエーターらから批判が相次いだのを受け、内容が不適切だったとして謝罪した。

 問題の動画広告は「クラッシュ(粉砕)」というタイトル。「必要なのはあなただけ」と歌う曲に合わせてギターやピアノ、絵の具の缶などの人間の創造性に関わる物が次々とプレス機でつぶされていき、最後に超薄型をうたうアイパッドプロが登場する。

 だが、アップルのティム・クック(Tim Cook)最高経営責任者(CEO)が動画をX(旧ツイッター)に投稿すると、SNSユーザーからは生成AIの出現でクリエーター業界が先行きを案じている中、あまりにも無神経だとの批判が上がった。

 アップルのトー・ミレン(Tor Myhren)マーケティング担当副社長は広告業界誌アド・エイジ(Ad Age)に対し、「創造性はアップルのDNAであり、世界中のクリエーターに力を与える製品をデザインすることは、わが社にとって非常に重要だ」と述べた。

 さらに「われわれが目指すのは、アイパッドを通じてユーザーが自分自身を表現し、アイデアを形にする無数の方法を常にたたえることだ。この動画は的外れだった。申し訳ない」と謝罪した。

 アップルによると、この動画は元々テレビでは放映しない予定で制作されたという。

 英俳優ヒュー・グラント(Hugh Grant)さんは、この広告を公開したクック氏の投稿に対し、「人間の経験の破壊。シリコンバレー(Silicon Valley)提供」と批判を書き込んだ。

 また米映画監督リード・モラーノ(Reed Morano)氏は、クック氏に「空気を読め」と一喝。この広告は「異常だ」と酷評した。(c)AFP