【4月20日 AFP】国際通貨基金(IMF)は19日、最新の世界経済見通し(World Economic Outlook)で、ロシアによるウクライナ侵攻を背景に、2022年の成長率を1月の前回見通しより0.8ポイント低い3.6%へと大幅に下方修正した。

 見通し修正の要因として、物価上昇や供給不足、公的債務の増加を指摘。IMFのピエールオリビエ・グランシャ(Pierre-Olivier Gourinchas)経済顧問兼調査局長は、ウクライナ侵攻の経済的影響が「地震波のように広範囲に伝播」していくと記している。

 ウクライナは35%のマイナス成長、ロシアは前回見通しより11ポイント低い8.5%のマイナス成長とした。

 ウクライナ侵攻と新型コロナウイルス流行の影響を受け、米国は0.3ポイント低い3.7%、中国は0.4ポイント低い4.4%に下方修正。日本は0.9ポイント低い2.4%とした。

 ユーロ圏では、ウクライナ侵攻に伴う燃料や食料の価格高騰で、物価上昇率の高止まりが予想以上に長引くと予想。成長率を1.1ポイント低い2.8%に引き下げた。

 物価上昇は世界各国で進むものの、新興・発展途上国では特に深刻となる見通しで、IMFは上昇率を先進国で5.7%、途上国で8.7%と予想。過去2年間の経済成長を相殺する恐れがあると警告した。

 一方でコロナ禍は続いており、中国で現在実施されているロックダウン(都市封鎖)が製造拠点などの経済活動を鈍化させ、世界のサプライチェーン(供給網)がさらに阻害される可能性があるとグランシャ氏は指摘した。(c)AFP/Heather SCOTT