【2月28日 AFP】米ハリウッド(Hollywood)で26日に開催された第89回アカデミー賞(Academy Awards)授賞式で起きた作品賞の取り違え。報道などから、この前代未聞のハプニングの裏側が明らかになってきた。賞の結果管理を担当するコンサルティング会社プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の担当者が2通ある主演女優賞の封筒の一つをしまい忘れ、プレゼンターに間違って手渡していた。担当者は授賞式の間頻繁にツイッター(Twitter)に投稿していたとも伝えられるが、今回の失態にとても動揺しているという。

 間違った封筒を手渡してしまったのはPwCのパートナーであるブライアン・カリナン(Brian Cullinan)氏。作品賞のプレゼンターを務めた俳優のウォーレン・ベイティ(Warren Beatty)とフェイ・ダナウェイ(Faye Dunaway)に誤った封筒を手渡したため、本来の受賞作品の『ムーンライト(Moonlight)』ではなく『ラ・ラ・ランド(La La Land)』が受賞作と発表された。

 カリナン氏は同僚のマーサ・ルイス(Martha Ruiz)氏と共にここ数年、アカデミー賞の結果が入った封筒をプレゼンターに渡す役目を担ってきた。先日ウェブサイト「ミディアム(Medium)」に掲載されたインタビューでは、封筒は各賞に同じものが2通ずつ用意されると説明していた。

 作品賞の直前に発表された主演女優賞は『ラ・ラ・ランド』のストーンが受賞しており、ルイス氏が同賞のプレゼンターを務めたレオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)に結果が入った封筒を渡した後、カリナン氏は本来、自分が持っていた主演女優賞の封筒をしまうことになっていた。ところが、作品賞の発表の際にカリナン氏は誤ってその封筒をプレゼンターのベイティに渡してしまった。

 ベイティから封筒を渡されたダナウェイが『ラ・ラ・ランド』の受賞を発表。同作品の音楽プロデューサー2人が受賞スピーチを行い、プロデューサーのジョーダン・ホロウィッツ(Jordan Horowitz)氏の番になったところで間違いが知らされた。

 カリナン氏はこのミスを犯す直前、女優のエマ・ストーン(Emma Stone)を舞台裏で捉えた写真をツイッター(Twitter)に投稿していたとされ、授賞式の間中、頻繁にツイッターに投稿していたとも伝えられる。ただ、27日午前までにそれらの写真は削除されている。

 カリナン氏はこの件についていまだ公に語っていないが、PwCは謝罪文をすぐに発表し、間違いが起きた原因を調査するとしている。

 PwC米国法人のティム・ライアン(Tim Ryan)会長は娯楽誌バラエティ(Variety)に、カリナン氏は「今回のミスについてとても動揺している」と明かしている。(c)AFP