【9月18日 MODE PRESS】どんなにいい製品でも、メディアや消費者に理解してもらえなければ、あんまり売れない その橋渡しをするのがプレスの役割だ。いわゆるPRだけではなく、実は製品の開発やブランディング、マーケティングまでと仕事は多岐にわたる。

■扱うブランドを自分が信じること

 ファッションが好きで、製品についてよく知っていて、気配りがきいて、できれば明るい性格。この仕事にはそんな多くのことが求められるが、何よりも「このブランドは素晴らしい」との嘘のない説得力が欠かせない。外国出身なのにあまりそう感じさせないニコルさんは、ナチュラルにその情熱が表現できる。

 「商品を自分で信じていること。好きでこのブランドにパッションと可能性を感じていなければ、プレスの仕事はできない」とニコルさん。もちろん、デザイナーとの信頼関係を築き上げることも欠かせない要素の一つだという。

 オーストラリア生まれ。高校生のときに東京に1年の留学。大学はカナダだったが日本語科で学び、卒業後はまた日本へ。IT関係の企業に勤めた。「ファッション関係のクライアントが多かったので、やはりそっちの方にしようかな」と、セレクトショップに転職した。小さいころからずっと興味があったからだ。

■自分なりのプレス業務の在り方考え

 バイヤーの仕事もしながら、プレスとしての訓練も積んだ。コレクションに限らず、国内やヨーロッパ各国の新進ブランドなどにも積極的に興味をもち、「これは、と思ったら、思い切って買い付けた」。それをどう日本の客に紹介するか? 試行錯誤しながら、自分なりのプレス業務のあり方を考え続けたという。

■いつも「ラッキー♪」

 そして今、気の合った男性2人(英国人と日本人)と共同で立ち上げたプレス会社で働く。外国の新進有望ブランドを中心に現在7ブランドを扱っている。仕事で海外を駆け回る中で、重要な日本マーケットへの橋渡し役。日本は世界で一番おしゃれなマーケットだとの確信もある。海外でいいデザイナーを見つけて、わくわくしながら、「日本でどうですか?」と話しかけるという。日本語の壁もないので、日本のアタシェ・ド・プレスとしてはユニークな存在として注目されている。

 もちろん多忙だし、時差にもいつも悩まされる。でも、楽しい。「世界中でコレクションが見られるし、こんなステキな仕事がほかにあるか、っていつもラッキーだと思う」(c)MODE PRESS