【7月6日 AFP】仏パリで4日、ジャン=ポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)が18/19年秋冬オートクチュールコレクションを発表した。今シーズン、ゴルチエは「乳首に自由を(原文:Free the nipple)」というスローガンの下、ブラジャーをめぐる論争に一石を投じた。

 米フロリダの女子生徒、リジー・マルティネス(Lizzy Martinez)がニュースで取り上げられたのは今年4月。リジーは学校でセーターの下にブラジャーを着用しておらず、これに対して他の生徒たちが、彼女の胸で気が散ると主張した。これを受け教師らはリジーに対し、もう一枚シャツを着用し乳首に絆創膏を貼るようにと命じた。

 この一件を受けゴルチエは、女性がこのような扱いを受けたことは「中傷的」だとし、今回のコレクションを通してリジーへの支持を示した。

パリで開催された「ジャンポール・ゴルチェ」18/19年秋冬オートクチュールコレクションの様子(2018年7月4日撮影)。(c)AFP PHOTO / Alain JOCARD

「男性が上半身裸でいる権利があるのなら、女性にもその権利があるのでは?」とゴルチエはAFPに対して語った。

 さらにゴルチエはダメ押しで、仏語と英語で「乳首に自由を」と書かれた透明のライオットシールドをまとい上半身をあらわにした男女をキャットウオークに登場させた。「乳首もアクセサリーも見ることができるが、触れない」のだとゴルチエは話した。

「胸をあらわにしなければならない、と言っているわけではない。コルセットやブラジャーはいいものだし、それを好きなことは一目瞭然だと思う」と、マドンナ(Madonna)の有名な円柱型のビスチェを考案したデザイナーは説明。「しかし、Tシャツの下にブラジャーを着用しない自由も女性にはあるはずだ」

パリで開催された「ジャンポール・ゴルチェ」18/19年秋冬オートクチュールコレクションの様子(2018年7月4日撮影)。(c)AFP PHOTO / Alain JOCARD

 ゴルチエは自由と罪をテーマとした秋冬コレクションで、他にも乳首が見えるルックを4つ披露。

「我々は監視社会で暮らしている。みんなに自由とは何かを示す口実を探していた」とゴルチエは明かす。「そのままの胸で出歩いても誰にも攻撃されずにいられるのだと示したかった。あまり人生を真剣に捉えすぎず、楽しく自由であることが大切だ」

 またゴルチエは世界中の保険機関の一番の敵であるたばこをアクセサリーのインスピレーションとし、世間を揶揄した。

 白と黒で構成されたショーの始めは、「No smoking(禁煙)」のスローガンを施したジャンパーやジャケットが披露された。これは仏語でタキシードを意味する「le smoking」をもじったものだとゴルチエは説明し、「たばこを吸うのも吸わないのも、我々の自由であるべきだ」とした。(c)AFP/ Anne-Laure MONDESERT / Fiachra GIBBONS