【9月11日 MODE PRESS】日本の重要無形文化財保持者(人間国宝)に倣い94年にフランスで策定された、メートル・ダール(Maitre d'Art、仏版人間国宝)。その認定を受けた13人と次期認定が期待される2人の計15人の作家による作品を展示した「フランス人間国宝展」が、12日から東京・上野の国立博物館ではじまる。

■フランスならではの伝統工芸

 展示されるのは、伝統工芸作品およそ230点。フランスで4人しか存在しない紋章彫刻家で印章制作の第一人者として知られるジェラール・デカン(Gérard Desquand)による、初の円筒印章やガラスの刻印。麦わらの繊維を伸ばしてつくる特殊な技法でできた麦わら象嵌細工作家リゾン・ドゥ・コーヌ(Lison De Caunes)によるインテリア。一枚の布から生み出す複雑な模様で見る者を圧倒させる、ピエトロ・セミネリ(Pietro Seminelli)の折り布作品。数々の博物館に作品を貯蔵する陶芸作家ジャン・ジレル(Jeon Grel)による101件の曜変天目茶碗群など、作品の種類は多岐にわたる。

■伝統の壁を越えようとする革新力

 本展のキュレーターを務めたエレーヌ・ケルマシュテール氏(Hélène Kelmachter)は、現在124人存在するメートル・ダール認定者の中から今回選出した基準について、「技術はもちろん、勇気を持って次の壁を超えようとする革新力。また、使命を感じて冒険しようとする作家の姿勢が決め手だった」と説明した。また、オリヴィエ・ブロ(Olivier Brault)ベタンクールシェーラー財団(Fondation Bettencourt Schueller)代表は、開催の目的について「アーティストの知名度向上やフランスの匠工芸の発信の場として、また日本に対する敬意の表明、さらに日仏の社会・経済における工芸と職人の位置づけについて考えていきたい」と話した。期間は11月26日まで。

■参加作家
ジャン・ジレル(陶器)、クリスティアン・ボネ(鼈甲細工)、セルジュ・アモルソ(革細工)、ロラン・ダラスプ(金銀細工)、リゾン・ドゥ・コーヌ(麦わら象嵌細工)、フランソワ=グザヴィエ・リシャール(壁紙)、ナタナエル・ル・ベール(真鍮細工)、ミシェル・ウルトー(傘)、シルヴァン・ル・グエン(扇)、ピエトロ・セミネリ(折り布)、ファニー・ブーシェ(銅板彫刻)、ジェラール・デカン(紋章彫刻)、ロラン・ノグ(エンボス加工)、ネリー・ソニエ(羽根細工)、エマニュエル・バロワ(ガラス)

■お問い合わせ先
ハローダイヤル/03-5777-8600

■概要
・フランス人間国宝展
期間:9月12日(火)~11月26日(日)
会場:東京国立博物館 表慶館
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
(金曜・土曜および11月2日(木)は21:00まで開館。9月17日(日)、9月18日(月・祝)、9月24日(日)は18:00まで開館。9月22日(金)、9月23日(土・祝)は22:00まで開館)
休館日:月曜日(9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開館、9月19日(火)は休館)
料金:一般1400円(1200円/1100円)、大学生1000円(800円/700円)、高校生600円(400円/300円)、中学生以下無料
※( )内は前売り/20名以上の団体料金
※詳細は公式HP参照

■関連情報
「フランス人間国宝展」 公式HP:www.fr-treasures.jp
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