すべてが足りない刑務所生活の中で、化粧品は比較的重要でないと思われている。だが、ポーンティップさんは、化粧品の寄付は女性たちの気分を明るくし、所持金を節約できるシンプルな方法だと考えている。女性受刑者たちの生活は、塀の外の一般の人たちと同じように金銭に頼っているからだ。女性受刑者たちは料理や工芸品の製作により、少しの稼ぎを得ている。収入の上限は1日10ドル(約1100円)まで。小さなコンビニエンスストアで生理用品や日用品の購入に当てられる。

「化粧品は高価で、手に入れるのはとても難しい」とポーンティップさんはAFPの取材に答えた。中には小さな刑務所の売店の化粧品を買い占め、値をつり上げて他の者に売る受刑者もいるという。このような闇取引は刑務所内でまん延しており、長めにシャワーを浴びたり鎮痛剤を入手したりといった慰めを得る唯一の手段が、所内での仕事や身内の者から得た現金となっている。「こうしたお金は刑務所ではなく、立場の強い受刑者のポケットに入る」とポーンティップさんは言う。快活だった彼女の口調も、獄中での体験を話し始めると勢いをひそめた。